2016年6月22日水曜日

データで見るスマブラ Wii U版編 #1 『Apex 2016』 クラウドのリミットブレイク利用傾向 -- Smash for Wii U Statistical Breakdown #1 Cloud Limit Breaks

先週末大きな盛り上がりを見せた『Apex 2016』ではシングルスベスト16に4名のクラウド使いが名を連ねた。しかし同じキャラであってもその使い方にはそれぞれの個性がはっきり表れるのがこのゲームである。ここではこの4人のクラウドのプレイスタイルをリミットブレイクの利用傾向から分析してみる。

まずリミットブレイクに関する基本的なデータを以下に示す。(ソース:SmashWiki)

ゲージを貯める条件(それぞれ単一の条件のみで貯める場合):

  • 下Bを合計400フレーム(6.67秒)発動する
  • 自分が相手にダメージを与える場合、100%でゲージがたまる
  • 相手が自分にダメージを与える場合、250%でゲージがたまる

リミットブレイク状態でのステータス変動:

  • 重力、落下速度、初動ダッシュ距離、走行速度が10%上昇
  • 歩行速度、摩擦抵抗(滑りにくさ)が15%上昇
  • 空中移動速度・加速度が20%上昇
  • 各必殺技がそれぞれ強力な技に変化する(必殺技を出すとリミットブレイク状態は解除される)

以下は『Apex 2016』で配信された試合で、各選手がクラウドを用いたゲームのデータをまとめたものである。ここではベスト16に残ったMew2King(4位)、James(7位)、Rain(9位)、Tweek(7位)の4名を比較する。



なおもちろんそれぞれ対戦相手、対戦キャラクターおよびステージが異なるためデータとしての正確性はあまり保証できないが、おおよその傾向はつかめるのではないか。

イメージ通り、Mew2KingとJamesはリミットゲージがたまり次第積極的にリミットブレイク技を使用していく傾向がある。一方TweekとRainはよりリミットブレイク状態を保持し、ステータス上昇を利用した立ち回りに重きをおいていることがうかがえる。

基本的には敗北したゲームの方がリミットブレイク技利用頻度は減る傾向にあるが、これには2通りの解釈ができる。1つは「負けているということは自分がダメージをあまり与えていないということであり、このためそもそもゲージがなかなかたまらなかった」という解釈。もう1つは「リミットブレイク技をあまり使用しなかったから負けた」という解釈である。一方でRain選手のみ敗北時のほうが利用頻度が高くなっているが、これは「押され気味でリミットブレイク中崖外に出されることが多く上B復帰をせざるを得ないことが多かった」あるいは「リミットブレイク技をむやみに使いすぎたから負けた」の2通りにざっくり解釈できる。

なおMew2Kingのリミットブレイク技利用頻度が思ったより少ないと感じる人もいるかもしれない。これはデータを細かく見ると2セット目対SUperGirlKels(ソニック)戦が大きく影響していることがわかる。この3ゲーム(勝利)での利用頻度は1.01回/分と平均よりだいぶ低くなっており、これを除くと勝利時の平均は1.67回/分と4人中最大となる。推測でしかないが、これはソニックを捉えるためにはリミットブレイク時のステータス上昇が必要であり、なるべくこれを維持して戦うのが得策と考えたためかもしれない。

Mew2Kingの傾向を見るとなるべく積極的にリミットブレイク技を利用したほうがいいのかとも思えるが、当然そうそう単純な話ではない。Mew2KingがSuperGirlKelsとの1セット目で敗北したのちスタイルを切り替えて(利用頻度を下げて)ストレートで勝利出来たように、相手キャラやステージ等によって適切な戦略は変わるだろう。またプレイヤーの他の立ち回りとの相性というのもある。

参考までに以下に撃墜技の割合のグラフを全体、各個人について示す。


"LB Side B"はリミットブレイク時横必殺技のこと。"Air"は「空中攻撃」を意味し、例えば"Back Air"は「空中後攻撃」をさす。"Neutral Air"「空中ニュートラル攻撃」での撃墜は復帰阻止によるもの。

どのプレイヤーもやはりリミットブレイク時横必殺技(凶斬り)による撃墜が多くなっている。Mew2KingやTweekは非常にバランスのとれた撃墜方法をとっているのに対し、Jamesはリミットブレイク凶斬りに大きく偏っているのがわかる。RainはOtherが多くなっているがこれにはダッシュ攻撃、横スマッシュ、空上などが含まれており、非常に多彩な撃墜方法が特徴ともいえる。

もちろんリミットブレイク凶斬りが多いのは「わざわざ他の技を組み合わせて読み合いにするまでもない相手とあたっているから」という理由付けができるし、一概に一つの技に頼るのが悪いわけではない。しかし一般に適度な数の方法を織り交ぜることで相手に予測されにくくかつ自分の中で一貫した戦略が立てやすいというのは言えるのではないだろうか。

「たかが一つの大会のデータだけは何も証明できない」と言われればそのとおりであり、今後はもっとデータを蓄積し、より詳細な分析を提示していきたい。


0 件のコメント:

コメントを投稿