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2016年7月14日木曜日

『EVO』シリーズ --スマブラ名場面集 #5

2002年に第1回が開催され毎年数えきれない名勝負を生み出し続ける格闘ゲームの世界的祭典『EVO (Evolution Championship)』シリーズ。2007年にははじめてスマブラDXシングルスが種目として採用され、一時は種目から外されたものの2013年から復活。さらに2015年からはスマブラfor Wii U(SSB4)シングルスも新たに採用されスマブラ熱は高まる一方となっている。そんな『EVO』シリーズにおけるスマブラの進化の歴史をたどってみよう。

EVO World 2007 --Mangoの顕現--


はじめてDXシングルスが採用され当時史上最大となる270人という規模で王座が争われた。これは今ではDX界「五神」の一角として定着しているMangoがはじめてその力の片鱗を世界に魅せつけた大会でもあった。プリンという当時の基準では「中堅クラス」のキャラを使用し「キング・オブ・スマッシュ」Kenと同じく現五神の一人Mew2Kingを破り3位まで上り詰め、人々に大きな衝撃を与えた(下は非公式映像)。


EVO 2013 --復活祭、そして神々への挑戦者--


スマブラXリリース直後の2008年大会ではDXの代わりにXシングルスが開催されたが「アイテムあり」など決して競技的とは言えないルール設定が批判されあまり注目されることはなかった。2009年にはサイドイベントとして再びXのトーナメントが開かれたが、スマブラタイトルが正式種目に返り咲くのには5年を要することになった。

そして米国においてXの競技人口が伸び悩む中着実に成長を続けるDXシーンの盛り上がりを受け、2013年に再びスマブラDXシングルスが『EVO』の舞台で開催される。この時にはすでにMango, Armada, Hungrybox, PPMD(Dr. Pee Pee), Mew2Kingらの五神の地位が固まっており、彼らの支配に割って入ることは至難の業と考えられていた。

そんな中で一人神に抗う者がいた。Wobbling(ぱしぱし)というテクニックを世に広めたアイスクライマーの申し子、Wobblesである。Mango, PPMD, Hungryboxを次々に撃破し勝者側で決勝へと進出。敗者側から復活したMangoに2セットを取られ敗北したもののプレミア(超級メジャー)トーナメントで2位という他のアイクラ使いが誰一人成し遂げていない偉業を達成し歴史に名を残した。


EVO 2014 --忠誠と誇り--


「ピカチュウがたまたま自分にとって最高のキャラだったんだ」アリゾナの英雄Axeは『MLG Anaheim 2014』の大会後インタビューでピカチュウというキャラを選んだ理由をこう語った。ともに研鑽する仲間も乏しい中孤独にも耐え、ただひたすらキャラクターのもつ可能性を信じ突き進んできた。そんな彼が魅せる唯一無二のパフォーマンスはこの世界に彩りを添える一輪花となる。


Axeも本当に分が悪い相手にはファルコやこどもリンクといったサブキャラを利用する柔軟さも兼ね揃えており、それもまた彼の強さのゆえんであろう。ところでこどもリンクといえば...。


ArmadaはHungrybox対策のためにこのキャラクターを研究しはじめ、2011年の『Pound V』でこのキャラで彼から勝利を奪い取る。さらに続く『GENESIS II』でもこのキャラで勝利しこの大会に至る。だがHungryboxも負けをただ受け入れる男ではなく、ここにきて適応をみせこの大会で当たった2セットともにプリンとフォックス/ファルコを織り交ぜ勝利した。

この後ほどなくしてArmadaは対Hungryboxにフォックスを起用するようになる。お互いがお互いの研究・対策をしてはまたその研究・対策を繰り返し。この2人のライバル関係は鮮烈な火花を散らし続ける。

EVO 2015 --新たな風、圧倒--


この年には初めてSSB4シングルスが正式種目となり、世界中から2000人近くの参加者が集まった。大規模なイベントで初めてカスタム技が許可された今大会であったが、勝利したのは一切カスタム技を使用しないプレイヤーであった。それも勝利どころではない、完全勝利である。


ただでさえキャラクター数が多い上にカスタム技という要素が加わり波乱が予測されたこの大会において、全試合1ゲームも落とすことなく優勝できる人間がいるなどだれが想像しただろうか。ZeRoは大会前からカスタム反対派であり、彼の今回のパフォーマンスに敬意を表しカスタム技を許可する大会はこの後ほとんど行われなくなった。

ZeRoの影に隠れがちだが日本から満を持して参戦したこの男の快進撃も忘れてはいけない。


日本だけでなく世界の大会にも数多く参戦しコンスタントに記録を残すあばだんご選手の姿に勇気づけられる日本人プレイヤーは多いであろう。今年の『EVO』にもSSB4, DXともに幾人もの日本人がエントリーしている。「スマブラの原点」の誇りを胸にはるか北米の地に降り立つ彼ら、彼女らの健闘を心から祈るとともに、この世界の次なる「進化」をこの目でしかと見届けたい。

もちろんスマブラだけでなく他のあらゆる格闘ゲームの至高のバトルがみられるのが『EVO』という祭典である。これが新たな世界の発見につながり、コミュニティ間交流の活性化への契機になることを望む。

ソース
http://wiki.teamliquid.net/smash/Evolution_Championship_Series
http://www.ssbwiki.com/EVO

2016年7月7日木曜日

Wizzyの旅路、これまでとこれから --スマブラ名場面集 #4

現在スマブラ64, DX, for Wii U(SSB4)でトッププロとして活躍し、特にDXのファルコン使いとして注目を集める若干18歳の美男子、Justin "Wizzrobe" Hallett。Wizzyの愛称で親しまれる彼が激動のスマブラ界でこれまで歩んできた軌跡を振り返り、その澄んだ瞳が見据える未来へと思いを馳せる。

彼が動画で目にしたスマブラのプロ選手たちにあこがれて大会に参加するようになったのは2011年、13歳のころであった。学業の合間を縫いつつ練習に励み、親や地元のプレイヤーに連れられて会場に向かい、少しずつ経験を積んていった。

DXではファルコンに忠誠を誓い、その後地元フロリダの有力プレイヤーPlup, Gahtzu, Gravyらとともに練習を重ねるようになる。Xでソニックをメインにしようとしたが大会で勝てず断念した彼はProject M(PM)のソニックに希望を見出し、PMでもPlupらと切磋琢磨する日々が続いた。64では地元のヨッシー使いSheerMadnessから手ほどきを受けた。

そして彼は『Apex 2013』で初のメジャー大会の舞台に立つ。64やDXでは際立った成績は残せなかったものの、PMシングルスではLeffenやHungryboxを破り見事2位という成績を収める。これは参加者わずか16名でサイドイベント的位置づけであったためにこの結果はそれほど大きな注目を集めなかったが、転機はおよそ半年後に訪れる。

舞台は2013年6月初めに行われた『Zenith 2013』、ここで彼のソニックは恐ろしい猛威をふるうことになる。次々に名だたるプレイヤーからストックを奪い、ゲームを奪い、そして試合を奪っていく様はまさに音速。Mew2Kingすらも寄せ付けず、1ゲームも落とすことなくHungryboxとの決勝まで突き進むWizzrobe。この試合も3−1で勝利し栄冠を手に入れた神童には大きな賞賛が送られるとともに、ソニック弱体化の声が高まった。


この後Clash TournamentsをスポンサーにつけたWizzrobeは64でも才能を開花させ、翌年の『Apex 2014』ではJameHRらを下し5位という記録を収めた。そして同年『CEO 2014』ではDXでもそのポテンシャルを発揮し、ChillinやColbolを下して5位に食い込んだ。また同大会PMシングルスでは弱体化の影響を受けながらもEソニックを操りESAM, Mew2Kingらを凌いで2位に入り(ZeRoに敗北)、改めて実力を証明してみせた。



Wizzy(16)は『Zenith 2014』でスマブラキャリアにさらなるはずみをつける。64シングルスでFireblaster, The Zらを破り3位に入ったかと思えばDXでも300名近い参加者の中勝者側でベスト16まで進む。そしてそこで対峙したピカチュウマスターAxeを2−1で撃破しベてベスト8入り、HaxとZhuに敗れたものの5位入賞を果たす。


その1ヶ月後の『Tipped Off 10』ではFatalityやMew2Kingらとの戦いを勝ち残りPMシングルスで優勝、さらにPlupとのダブルスでも優勝し2冠を獲得。DXシングルスではこのPlupをフルセットの末下すなどの活躍で4位に入る。そして同年10月にはCognitive Gamingとの契約を結びさらなる高みを目指す。


しかし64, DX, PMに加えこの年発売されたSSB4の練習もするようになるとさすがにすべてをさばき切れないのか、翌2015年の成績は停滞気味になった。なおWizzrobeはこの年を境にPMからは引退した。

しかし年が明け翌1月、『GENESIS 3』直後に行われた『PAX Arena』がブレイクスルーとなる。LuckyやS2Jなど並み居る強豪をしりぞけDXシングルスで5位に入ると、4月の『Pound 2016』ではChudatやDuckを下し9位、5月の『DreamHack Austin 2016』ではMacD, Nintendude, SFATを倒し4位と次々好成績を収める。

なおこの間Wizzrobeはフロリダのファルコン仲間Gahtzu, Gravyらと『20GX』というチームを結成し、DXファルコンの研究に励むようになる。『DreamHack Austin 2016』のインタビューで彼は食事にも大いに気をつかい専属の管理栄養士を雇っているとも語り、アスリートとしての気概を伺わせる。



その後も一貫してDXで好成績をあげつつ64でも成績を維持、SSB4でも(シークを使用)少しずつ力を上げる18歳のWizzrobe。6月の『Smash 'N Splash』ではDXでMew2King打倒にあと一歩まで迫り、そのポテンシャルを世に魅せつける。

その2週間後の超級メジャー『CEO 2016』でも安定したパフォーマンスでDXシングルスベスト8にまで進出。そして、これをご覧の方なら記憶に焼き付いているであろう、『WTFox 2』である。メジャー大会の場で初めて挙げたこの勝利には誰もが度肝を抜かれることとなった。


さらにこの大会ではMew2King, Mang0ともフルセットの激闘を演じ、「神殺し」足りうる才覚を大いにのぞかせてくれた。一点の曇もなく磨かれたメガネの奥に光るその瞳が見据えるのはどこなのだろう。神の根城かはたまたその上か。「上」だけではなく、視覚の端には他の種目の王座も捉えていよう。

我々も決して目をそらすまい。若き英雄が紡ぐ果てなき旅の行方から。

ソース
http://www.ssbwiki.com/Smasher:Wizzrobe
https://www.reddit.com/r/smashbros/comments/1foqko/hiim_wizzrobe_project_m_champ_of_zenith_2013_ama/

2016年6月30日木曜日

スマブラ名場面集 #3 下克上の歴史(Wii U版) --Smash Historical Moments #3 Upsets in Smash for Wii U

「弱者」が「強者」を打ち負かす瞬間というのはどうしてこうも清々しく刺激的なのだろうか。弱者の果敢さに対する畏敬か、強者の堕落を悦ぶ俗心か、はたまた新たな時代の到来を望む好奇だろうか。今回はスマブラWii U版(SSB4)における、そんな記憶に残る「下克上」の瞬間を取り上げる。

Smash Factor 4  MK Leo vs Mr. R

昨年7月に行われたメキシコのSSB4大会にははるばるオランダからMr .Rが招かれた。基本的には国内イベントということもあってそれほど注目される大会ではなかった。しかしここに突如現れた14歳の神童が見せた圧巻のパフォーマンスに世界中が息を呑むことになる。


非常に残念なことに彼は年齢のためか米国滞在のビザが下りずアメリカのメジャー大会に参戦することはかなわない状況である。いつか来るであろうその日を待ちわびる。

GENESIS 3 Nairo vs Hyuga

メキシコといえばもう一人すぐに思いつく人物がいるであろう。ダンディズムを体現した出で立ちでトゥーンリンクを操るその姿は一度見たら忘れまい。そんな彼、Hyugaの存在を一層世に知らしめたのが世界ランク2位のプレイヤーNairoとの1戦であった。


次彼はこの後先週末の『CEO 2016』でも再びNairoを撃破して5位の成績を収めており、その実力が本物であることを証明してみせた。もはやこの結果が「番狂わせ」でなくなる日も近いかもしれない。


Apex 2016 SuperGirlKels vs Mew2King

この日"スーパーガール"が見せたパフォーマンスに心動かされないものはいまい。Mew2Kingというプレイヤーと対峙してここまで堂々と力を発揮できるプレイヤーはそうそういない--ましてや勝利できるプレイヤーなど。



この大会で彼女はもう一度Mew2Kingと当たるが、その際はあまり力を出せずストレートで敗れてしまう。彼女の前を向き続けるひたむきさがいつしかまたドラマを見せてくれることを期待したい。

Smash 'N' Splash Ned vs Ally

観衆の声援がもたらす効果というものは計り知れない。ホームグラウンドで仲間の激励を全身に浴びれば不可能なんてないように思えてくる--スマブラでAllyを倒すことだって。


Nedはまだランキングの上では地区上位プレイヤーにすぎないが、今後世界の場で"Splash"を巻き起こしてくれることを待ち望む。

「トーナメント54連続優勝」だとか「EVO 2015で1ゲームも落とすこと無く優勝」という功績を聞くともはや規格外過ぎてその凄さがよくわからなくなってくる。そんな人外な存在が「人並み」に敗北する場面を目にしてなんの感情も抱かずにいられるものか。それでは一気に振り返ろう、ZeRoを撃破した勇者たちの戦いを。







みなさんの記憶に残る下克上劇はこの中にあっただろうか。ここではあえてあまり載せていないが、『CEO 2016』では多くの番狂わせがあっただけに今後のこのシーンの展開がますます楽しみである。筆者は、新時代の予感に高揚を覚えるタイプのようだ。

2016年6月23日木曜日

スマブラ名場面集 #2 『CEO 2015』 新時代の潮流 -- Smash Historical Moments #2 The New Era

スマブラ含めあらゆる格闘ゲームにおける世界トッププレイヤーたちが一堂に会する超級メジャーシリーズ『CEO(Community Effort Orlando)』、今週末にはその5回目の大会となる『CEO 2016』がアメリカはフロリダで開催される。数々のドラマを生み出してきた本シリーズであるが、昨年の『CEO 2015』ではスマブラDXの新時代の幕開けを告げる歴史の転換点が訪れる--William Hjelte, "Leffen"の優勝である。

Leffenの2015年は欧州の国際トーナメント『B.E.A.S.T 5』から始まる。この大会彼はArmadaとアメリカからのゲストMang0という2人を下し(Mang0からは初の勝利)て優勝を飾り、五神のうち勝利を挙げていない相手は残す所Mew2Kingのみとなった。続く『Paragon Orlando2015』ではMew2KingとPlupに敗れたもののまたしてもArmadaを倒し、3位という結果を収めた。『Apex 2015』でも3位に入り、ここでは再びMang0を破り、さらにBO3ではあるがMew2Kingを倒して「神殺し」を達成した(ArmadaとPPMDに敗北)。※6/24 修正

しかしこれに続く大規模な大会では五神相手になかなか勝利を上げられず、彼らに勝利したのもただのまぐれかという冷めた見方が広がりつつ合った。そんな中訪れたのがこの大会、『CEO 2015』であった。


Leffenの今大会最初の試練は新進気鋭のシーク/サムスプレイヤーPlup。


ギリギリのところで勝ちをつかみとったLeffenはつづいてMang0を倒して勝ち上がってきたShroomedと対戦する。


今度は終始リードを奪い力強く勝利をものにする。そして勝者側決勝、スウェーデンの同胞であり、師でありライバルでもあるこの男、Armadaと相まみえる。


激戦の末勝者となるLeffen、しかしまだ終わりではない。敗者側でMang0を下したArmadaが再びLeffenの前に立ちはだかる。


そして終焉--誰もが認めざるをえない安定のパフォーマンスでセットを落とすこと無くこの大会の頂点に立ったフォックス使いLeffen。しかし彼は正真正銘の「世界一位」の座を得るべく歩みを止めない。直後の『WTFox』でもMang0, Mew2Kingを打破し、『Super Smash Con』ではMew2Kingを2セットに渡りゲームカウント6-1で圧倒した。※ 6/24 修正

その後『League of Legends』や『Counter-Strike: Global Offensive』のチームが世界的に有名なe-Sports団体Team SoloMidをスポンサーとして獲得するなどどの躍進はとどまるところを知らない--かに思えた。スウェーデン国籍でありながらアメリカのスポンサーから報酬を得ている関係からかアメリカ滞在ビザの取得ができなくなり、その後『The Big House 5』『Smash Summit』『GENESIS 3』など多くの超級メジャー大会に欠場を余儀なくされる。

その後"#FreeLeffen"「Leffenを解放せよ」の合言葉のもと彼にスポーツ選手向けに発行される「アスリートビザ」の発行を訴える署名活動が行われ、全世界から10万もの署名が集まった。これはLeffen個人の問題ではなく、e-Sportsプレイヤー全員に関わる問題であるため、スマブラ以外のコミュニティからも多くの関心が寄せられた。この署名による訴えが受理され、彼は7月末までアメリカに滞在することを許可され、『CEO 2016』や『EVO 2016』への参加が可能となった。

それまでの間もLeffenは手をこまねいていたわけではなく、カナダで行われ多くのトッププレイヤーを招いた『EGLX(Enthusiast Gaming Live Expo)』や『Get On My Level』に出場し、後者ではなんとMew2King, Armada, Hungrybox, Mang0の4人を下して1位に輝いた。


かつては粗野な言動・行動、人を見下す態度でコミュニティから大きな反感を買い欧州では大会参加を禁じられた時期もあった。Mang0含めトッププレイヤーの多くも彼のことを敬遠していた。しかしプレイヤーとしてだけでなく人としても徐々に成長を見せる彼に対し人々の見方は変わりつつある。

10年近く最上位プレイヤーの顔ぶれが変わらないのは驚くべきことであるとともに危惧すべきことでもあるだろう。そんななかで堅い岩盤を打ち破り神々の根城に風穴をあける彼の存在はあらゆる意味で非常に重要と言える。さあLeffenよ、新しい時代を見せてくれ。

ソース
http://www.ssbwiki.com/Leffen
http://tsm.gg/index.php/news/leffen-visa-update/
https://www.reddit.com/r/smashbros/comments/4krmin/freeleffen_complete/

2016年6月16日木曜日

スマブラ名場面集 #1 Apex Series --Smash Historical Moments #1

長い長い歴史を持ち今なお発展を続けるスマブラ競技シーン。息を呑むラストゲームラストストックの死闘、目を見張る逆転劇、誰も予想し得ない番狂わせ、そして大会の覇者が決する瞬間の底知れない躍動--このシリーズではそこで生まれた数えきれない劇的な瞬間を少しずつ振り返っていく。

ApexシリーズはAlex Strife氏によって2009年に第1回が開催され、その後2015年まで計6回に渡り開催されてきた。このシリーズはEVOやCEOなどに並ぶスマブラのメジャーシリーズとしての地位を確立し、シーンの成長に大きく貢献してきた。Apex 2015は米任天堂が公式スポンサーになり、当時の最高エントリー数記録を塗り替える快挙を遂げる。しかし大会前にスキャンダルのためAlex氏が退任し、なんとか開催にはこぎつけたもののあらゆるトラブルに見舞われ大会として壊滅的となってしまう。過去の運営への不満もあり、その地位は一挙に堕落してしまった。

そんな中新たな運営組織がこの名を引き継ぎApex 2016として今週末シリーズ7回目の大会を開催する。彼らはApexを復権させることができるだろうか。そんな疑問あるいは期待を抱きつつ、過去の大会の名シーンを振り返る。

Apex 2013 X シングルス 決勝 Mew2King vs Salem

スマブラXの歴史的名勝負といえばこの試合であろう。全くといっていいほど無名であったSalemというプレイヤーが、中級キャラと見られていたゼロスーツサムスを操りこの舞台にまで上り詰めたのである。そんなダークホースが言わずと知れた全能の神Mew2Kingに挑んだこの試合をもう一度目に焼き付けよう。



もうXの大会が大々的に行われることはほぼないが、ここで培われたコミュニティは脈々とSSB4シーンに受け継がれている。現にSalemもSSB4プレイヤーとして今なお活躍を続けている。

Apex 2012 64 シングルス 決勝 Isai vs SuPeRbOoMfAn

北米におけるスマブラ64「二大神」と呼ばれる二人がぶつかったこの試合が名勝負にならないはずがなかった。前年のGenesis 2で対峙した時には激闘の末SuPeRbOoMfAnが勝利を手にし、Isaiにとってはリベンジマッチとなったこの試合。熾烈を極める戦いの軌跡を辿ってみよう。





64シーンは国内でも海外でも未だに根強く続いており、現在でも多くのメジャー大会で種目として採用されている。実はApexと同日に64単一イベントSnosa IIが開催され、ここに上の2名がエントリーしている。64ファンはぜひこちらにも注目してほしい。

Apex 2015 DX シングルス 決勝 Armada vs PPMD

Apex 2013の覇者Armadaと2014の王者PPMD(Dr. Pee Pee)が相まみえた試合である。ここしばらく大会に姿をみせなくなっていたPPMDが久しぶりに見せたプレイは衰えを感じさせるどころかさらなる高みを覗かせるものであった。異次元で繰り広げられる神々の戦いはこちらから。


残念ながらPPMDは現在療養中であり、またしばらくの間は彼の勇姿を見ることはかなわないが、また華麗なる凱旋を見せてくれることを心から祈る。

Apex 2015 SSB4 シングルス 決勝  ZeRo vs Mr. R

このタイトルが発売されて以来最初と言ってよい国際メジャー大会の場ではX時代の豪傑たちが名を連ね、決勝に残ったのも当然例外ではなかった。一方はディディーやメタナイトで世界最高クラスに上り詰めたチリ出身のZeRo。対するはマルスを操りコンボビデオを量産する華麗なプレイスタイルで名を馳せたオランダ出身のMr. R。この勝者はこの後SSB4シーンにおいて絶対的王者として君臨することになる。そのはじまりとなった瞬間をもう一度。


残念ながら今年のApexにはどちらの選手もエントリーしていないが、来週行われるCEO 2016では再びこの戦いが見られるかもしれない。

日本勢の活躍

日本人プレイヤーもこれまではるか太平洋を渡り幾度と無く北米の地に激震をもたらしてきた。「スマブラが生まれた地」の意地と誇りを魅せつけてくれた彼らの物語を忘れる訳にはいかない。








今週末のApex 2016では日本からRain、にえとの、うめき選手らが参加する。CEOを控えていることもありトッププレイヤーの参加率は低いとはいえ、Dabuz, VoiD, 6WX, Mew2Kingなど一筋縄ではいかない面々も顔を揃えている。彼らにはぜひApexを盛り上げげ、これまでの感動の歴史を未来につないでいって欲しい。

Apex 2016 大会ページ
https://smash.gg/tournament/apex-2016/details