2016年7月22日金曜日

Hyugaの猥褻行為への告発とその後の展開

世界中の格闘ゲームファンを興奮と感動の渦に飲み込んだ『EVO 2016』。しかしその裏で、メキシコのトゥーンリンク使いで世界トップクラスのスマブラfor Wii U(SSB4)プレイヤーCristian "Hyuga" Medina(23)が犯した行為がコミュニティに深い失望をもたらした。

SSB4のキャスターとして活躍するVikkkiKittyは7月17日、「Cristian "Hyuga" Medina」という題目でTwitLongerに以下の様な投稿をした。

これまでこんな経験はなかったし本当にどう書けばいいかわからないけど、昨晩私はHyugaに襲われた。ラスベガスを酔ったまま一人でふらつかせるのはまずいと思って私たちは彼を部屋に入れた。私の彼DJ Jackが彼を私たちの部屋に泊めてあげることにした。私はベッドで彼の隣で寝ていたんだけど、あることで目が覚めた。Cristian(Hyuga)が私と彼の間に入って身体をこすりつけて片手を私のシャツの上の方に、片手を私のズボンの下の方にずらしてきていた。私はキューバ出身だしスペイン語もかなりわかるから、彼に(スペイン語で)私から離れて床に戻るように言った、何度も。彼が酔っていて私から離れようとしないから、さらに大声で叫んだら部屋にいた人が目を覚ましてそれを目撃した。その人、Stefanは起き上がってすぐに彼が寝ていたもう一つのベッドを使うように言ってくれて、私はそのベッドに移った。15分たっても寝付けずにいたら、Hyugaが私と隣で寝ていた人の間に割り込んできてまた同じことをしようとして、そしたらNick Riddleが目を覚まして彼を部屋から追い出した。もう一度言うけど、私にはこれまでこんな経験はなくて、恐怖のあまり彼が追い出されてから泣き出してしまった。私の『友達』が本当にこんなことをしようとしたの?なんで離そうとしなかったの?

実際にその場に言わせた人々もこれを裏付ける証言をしている。この告発が衝撃的であったのはもちろんだが、これに対して「酔った勢いだから仕方がない」などとHyugaをかばう声や、中には「ことを荒立てて大人げない」などと被害者を非難するような反応があったことも大いに遺憾である。「酔った勢い」で猥褻行為が正当化されることはありえないし、さらに事件の詳細を見ればこれが「酔った勢い」などというレベルではないことも明らかである。なにせ抵抗にもかかわらず行為を続け、移動した先のベッドまで追ってきて再び行為に及ぼうとしたのである。VikkiKittyの感じた恐怖も底知れないであろう。

Hyugaは『EVO』前にVGBootCampとスポンサー契約を結んだばかりであったが、この件を受けて当団体は契約を解除した。またSSB4の著名なプレイヤー・大会運営者で構成される団体Global Smash 4 Leaership Groupは彼に対し1年間の大会出場資格剥奪という処分を下した。運営者がこの団体に所属していないローカルな大会の場合にはその運営者の以降次第で参加は可能であるが、メジャー大会への参加は不能になるであろう。なおメキシコの大会運営団体でHyugaと以前からパートナー契約を結んでいたSmash Factorも契約を解除し、同団体の運営する大会への参加も禁止する発表を出している

この一連の出来事に対してHyugaは「何が起こったかについて」というタイトルで以下の声明を出した。

いくつかはっきりさせておきたいことがあってソーシャルメディアアカウントを使うけど、まず第一にメディア(特にメキシコのメディア)が言っていることは事実ではなく、僕は強制送還はされていない。アメリカでお尋ね者になっているわけでもないし、大会に行けないだけで好きなところに行くこともできる。世界中の大会運営者が出場禁止の決定をしたことは受け入れるけど、『事実』を受け入れているとは一言も言っていない。僕が言っているのは、罰を受け入れるということ。罰を受け入れるのは、罪を受け入れるから。外国で知らない人と酔っ払ってしまったことによる罪、それは僕の責任であり、だから僕はそれがもたらした結果を受け入れる。僕やアメリカにいるメキシコの友人の身に起こったことに対して他の誰ひとりとして責任はない。僕は15歳の少年ではないし自分の行動にもっと責任を持つべきだった、これは僕の過ちで他の誰のでもない。今から[事件の詳細について]僕の側からの説明をするよ、僕が覚えていて100%起こったと確信できることだけ。僕たちはプールパーティーにいてすべでが良好だった。アメリカの選手たちと飲んでまったりして、完璧だった。でもパーティーが終わってDJ Jackが他のみんなと一緒にホテルに来るように僕を招待した。他にメキシコの選手もいなくて僕は一人ぼっちだったし、みんな[ホテルに戻って]パーティーを続けたかったから招待を受けてWestgateホテルに行った。そこでは南カリフォルニアの選手が何人かプレイしながら飲んでいて、僕が行くと彼らはショットを渡してきた。ショットを飲んで、少しプレイしたのを覚えている。その後酒が切れてDJ JackとVicky(VikkiKitty)と僕でボトルをもう一本買いにでかけた。南カリフォルニア部屋に戻ってプレイ/飲みを続けて、そこからは何も覚えていない。目を覚ますとNick Riddleが『出て行ってくれ』と言って僕は起き上がった。もう日が出ていて昼間か朝だからそう言われたんだと思って。起き上がって彼にパスポートとビザが入ったバックパックを見つけなきゃと伝えて、彼は探すのを手伝ってくれたけど見つからなかった。だから僕は彼らに見つかったら後で渡してくれるよう頼んで、彼らは了解した。僕はホテルを出た、誰一人の見送りもなしに。僕はタクシーを拾って自分のホテルに戻って寝た。起きたらこの有様で、そこでNickとDJ Jackに連絡を取った。彼らが言っていることは何一つ覚えていないことを伝え、できれば話がしたいからと居場所を伝えた。そしたら彼らはただツイッターで僕をブロックした。僕が覚えているのはそれっきりだ。今は二度とアメリカにプレイしに行こうとは思わない。もうどうでもいいし、メキシコでプレイしたいとも思わない。僕からするととても不快な環境だしね。だから僕は競技スマブラから引退するよ。今は自分の人生とキャリアに集中したい

このように引退の旨を発表したHyugaであったが、翌日はそれを撤回するコメントを出した。VikkiKittyとの和解があったようで(本人もそう証言している)、「Vickyとの問題は終わった」というタイトルで投稿された。

Vickyと話をしたけど、僕たちはこの問題をただ終わらせたいと思っている。だから僕は将来戻ってきてまたプレイしたいと考えている。こんな状況の中で2度目のチャンスを与えてくれてありがとうVicky。二度とこんなことが起きないように、自分のアルコールの問題を直すために精一杯努力するつもりだ。これが他の人への教訓になることを望む。みんなこの件に関して落ち着く必要がある。憎しみは人を隔てるだけ。Vickyは僕がこの問題に関して改善できると信じてくれている。僕は自分のもたらした結末と罰をすべて受け入れる

「アルコールの問題」というのが精神的な疾患であるのかただの「酒癖」であるのかは定かではない。また文面を見る限り彼が心から反省しているかどうか疑問である(英語が彼の母語ではないことは留意する必要がある)が、現状は行方を見守るしかない。

この一連の出来事はスマブラ、ならびにゲームコミュニティ全般における女性の扱いに関して大きな議論を巻き起こした。DXのトッププレイヤーSFATの交際相手Nicoleも自身のツイートで、同じDXプレイヤーであり元交際相手である男性から性的暴行を受けたことを打ち明けている。その文面は以下の様な内容で締めくくられている。

私たちが声を上げた時に受ける扱いのせいで、こんなことの多くは表沙汰にされないまま。これが同じような経験でどうしていいかわからなくて孤独になっている他の人たちの助けになって欲しい。こういう思考は私たちが黙ったままでいるから生まれてくる。もう終わらせないといけない。こういう行為は許容できない、私たちのコミュニティの中で続いていってはいけない。

彼女の言うように、勇気を持って声を上げた被害者が非難されるような環境が醸成されることが最も危険である。今一度自分たちの属するコミュニティがそのようになっていないか、内省が必要かもしれない。

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