2016年6月30日木曜日

スマブラ名場面集 #3 下克上の歴史(Wii U版) --Smash Historical Moments #3 Upsets in Smash for Wii U

「弱者」が「強者」を打ち負かす瞬間というのはどうしてこうも清々しく刺激的なのだろうか。弱者の果敢さに対する畏敬か、強者の堕落を悦ぶ俗心か、はたまた新たな時代の到来を望む好奇だろうか。今回はスマブラWii U版(SSB4)における、そんな記憶に残る「下克上」の瞬間を取り上げる。

Smash Factor 4  MK Leo vs Mr. R

昨年7月に行われたメキシコのSSB4大会にははるばるオランダからMr .Rが招かれた。基本的には国内イベントということもあってそれほど注目される大会ではなかった。しかしここに突如現れた14歳の神童が見せた圧巻のパフォーマンスに世界中が息を呑むことになる。


非常に残念なことに彼は年齢のためか米国滞在のビザが下りずアメリカのメジャー大会に参戦することはかなわない状況である。いつか来るであろうその日を待ちわびる。

GENESIS 3 Nairo vs Hyuga

メキシコといえばもう一人すぐに思いつく人物がいるであろう。ダンディズムを体現した出で立ちでトゥーンリンクを操るその姿は一度見たら忘れまい。そんな彼、Hyugaの存在を一層世に知らしめたのが世界ランク2位のプレイヤーNairoとの1戦であった。


次彼はこの後先週末の『CEO 2016』でも再びNairoを撃破して5位の成績を収めており、その実力が本物であることを証明してみせた。もはやこの結果が「番狂わせ」でなくなる日も近いかもしれない。


Apex 2016 SuperGirlKels vs Mew2King

この日"スーパーガール"が見せたパフォーマンスに心動かされないものはいまい。Mew2Kingというプレイヤーと対峙してここまで堂々と力を発揮できるプレイヤーはそうそういない--ましてや勝利できるプレイヤーなど。



この大会で彼女はもう一度Mew2Kingと当たるが、その際はあまり力を出せずストレートで敗れてしまう。彼女の前を向き続けるひたむきさがいつしかまたドラマを見せてくれることを期待したい。

Smash 'N' Splash Ned vs Ally

観衆の声援がもたらす効果というものは計り知れない。ホームグラウンドで仲間の激励を全身に浴びれば不可能なんてないように思えてくる--スマブラでAllyを倒すことだって。


Nedはまだランキングの上では地区上位プレイヤーにすぎないが、今後世界の場で"Splash"を巻き起こしてくれることを待ち望む。

「トーナメント54連続優勝」だとか「EVO 2015で1ゲームも落とすこと無く優勝」という功績を聞くともはや規格外過ぎてその凄さがよくわからなくなってくる。そんな人外な存在が「人並み」に敗北する場面を目にしてなんの感情も抱かずにいられるものか。それでは一気に振り返ろう、ZeRoを撃破した勇者たちの戦いを。







みなさんの記憶に残る下克上劇はこの中にあっただろうか。ここではあえてあまり載せていないが、『CEO 2016』では多くの番狂わせがあっただけに今後のこのシーンの展開がますます楽しみである。筆者は、新時代の予感に高揚を覚えるタイプのようだ。

2016年6月29日水曜日

スマブラ英会話 実践編 #1 実況を聞こう!『CEO 2016』ANTi vs Zinoto

大会はプレイを見るだけでももちろん面白いが、やはり実況解説を聞きながらのほうがより試合に没入できるし学べることも多い。このシリーズでは用語解説や会話表現の説明と平行して、実際に英語の実況解説を聞き取る練習をしていく。

今回は先週末行われた『CEO 2016』Wii U版(SSB4) シングルス決勝第1ゲームを題材にする。


スマブラ用語編で紹介した用語もたくさん出てくるのでそちらも見ながらスクリプトを追ってみよう(いくつか聞き取れない部分がありましたがご容赦ください)。なお英語圏にはあまり「実況」「解説」の役割分担の概念がなく(暗黙的にそうなる場合はあるが)、わりとそれぞれが好き勝手に話すことが多いのでその点混乱しないようにしよう。

※7/6 修正 動画の再アップが行われていたようなので動画を差し替え、時間をずらしました。

0:00
TK: All right man. Much like Beyoncé said, "this grand finals is a sweet dream or a beautiful nightmare". We're about to find out which one it is.
D1: Hahaha here it is.

bracket: トーナメント表, winner[loser] side: 勝者[敗者]側, grand finals: 決勝

0:10
TK: Haha, But it's about to be something else, man. Like, Zinoto is on a tear he's been playing out of his mind today. He lost to Dabuz earlier and then immediately came back with a vengeance 3-1 victory over this man and beat his Olimar, beat his Rosalina. It was just, it did not matter what he was gonna do. I mean that was a very dominant last game too but right now we're in the grand finals ANTi.. 
D1: Oh

play out of one's mind: (いい意味で)イカれたプレイをする, beat:倒す, dominant: 圧倒的な

0:29
TK: I mean he(Zinoto) started nice but ANTi started a fire on right back.
D1: And that's just what Mario's all about, right? You can have a lead over him, you get grabbed one time, and it's a LOT of damage. Look at ANTi's, like (his) offstage game is pretty good with Mario, too, which could be really rough for Zinoto. He's gonna have to keep his feet on stage, man.

grab:つかむ, offstage: ステージ外での

0:46
TK: Indeed. And now, man, ANTi's on the ground right now looking real good. Hold on?
D1: He looked for a high recovery as a lot of Diddy players tend to go for that. But Zinoto is showing that he mixes it up.

recovery: 復帰, mix up:択をかける。ここで it は recovery を指し、「復帰に択をかける」を意味する。

0:58
TK: And sometimes, I mean, I understand like going low Diddy can be risky at times, especially when someone could just snipe you with a fire ball but you know, the high recovery is, if its read, just as risky.
D1: Oh I did like..
TK: That man is bouncing that on the shield, let's go.

snipe:(飛び道具で崖外の相手を)狙い撃つ, read:読む, shield:シールド, let's go:「いいぞ」といった意味でよく使われる表現。

1:10
D1: I did like ANTi's DI after the Up smash as well. DI'ing in sometimes you could potentially avoid the last hit. I've learned from Larry Lurr.
TK: Indeed. Definitely saw earlier today too, man. A lot of people DI'd behind Diddy and avoided the last hit, just barely but still getting it.

DI: ベクトル変更。DI'ing のように動詞でも使う。 DI in で「内側(相手のいる方向に)ベクトル変更する」 up smash: 上スマッシュ

1:25
D1: Or if they do get hit, somehow they just... Look, oh oh. And interesting thing ,too, about ANTi, you know, back in the Brawl days he was definitely known to be one that was great against Diddy, you know. He knew what to do with items, right? Like, if you look at ADHD, a great Diddy player.. Oh?
TK: What a tech!

tech: 受け身

1:43
D1: He was good at dealing with items as well. So this ain't new to him, if you know what I'm saying.
TK: Can't get that one right there just a little bit too far, also good DI from Zinoto and great punish as well. 
D1: Forward throw?

get:(バースト技、コンボ、復帰阻止などを)決める。ここでの that はANTiの空前メテオのこと。punish: 相手の甘い行動を狩ること全般を指す。ここでは相手の空前透かしへの「反確」のこと。forward throw: 前投げ

1:54
TK: Yeah we're out, man. Brett Favre in the building. Touch down! Let's see what he can do. I think he can take a stock off before it takes too long. He's got 116 and UP SMASH. Let it ring and he's gone. Good stuff right there by ANTi. Reverse up smash, too, to get a hit earlier.

good stuff: なんにでも使える褒め言葉。「良いプレイ」程度のニュアンス。reverse: 反転の、振り向きざまの。その他吹き飛ばし方向が通常と逆のものも reverse ◯◯ と表現する。

2:08
D1: Oh and Zinoto out there trying to ? on him. Nice! He waited. That footstool allowed him to get out of the situation.

footstool:踏みつけ

2:22
TK: Here we go, down throw? Oh footstool, Ohhhhh WHO DOES THAT?! Let's go Zinoto! Show me something new every day.
D1: Showing that, this, this Diddy, he is the realest Diddy man. One of the realest.
TK: Some good damage off that one, too.

2:41
D1: That down tilt to down smash pushed ANTI all the way to the corner of stage. It's getting real scary right now for ANTi. Oh-oh?
TK: Down.. oh okay let's monkey-flip right in the space right there. 

down tilt: 下強。to: 〜からの。コンボや連携技をつなぐときに用いる。monkey-flip:(ディディーの横B)モンキーフリップ(を使う)

2:57
TK:The kong's chasing around banana trying to dance around banana as well and there is the..
D1:Ohhh
TK: All right does it, it just does it. Banana, d-tilt f-smash. He was so close to the ledge like there was nothing that he could do about it.  

there is: 「〜が決まる」といった意味合い。d-tilt (down tilt), f-smash (forward smash) のように方向を表す語を省略することがしばしばある。ledge: 崖

TKbreezy氏の英語はやや癖があって聞き取りづらいかもしれないがD1氏の英語は非常にクリアで聴きやすいので、はじめは彼の実況を聞いて練習するのが良いかもしれない。

※スクリプトの誤り等ありましたらコメントをいただければ幸いです。

2016年6月28日火曜日

『CEO 2016』 大会後ツイートまとめ Post-Tourney Tweet Compilations

DX編






(CEO DX シングルスで2位、DXダブルスで1位、スマ4ダブルスで1位)
(僕はプリンにおそろしく弱いんだと思う。プリン/アイクラが僕へのカウンターだと思う)
(別に不調だったわけではないと思う。ただある1人が相手だと全然ダメなんだ。ここ3大会のシングルス/ダブルスで他の選手には誰にも負けてないんだけど)
(あのPlupとのセットは激しかった。彼は異常に上手いよ)
(うんまあHungryboxとMew2King相手には散々だったよ。でもあの4ストック逆転劇は誰か予想できたか?)

(Hboxはよくやったよ。他、下手くそ)

大会が大きな盛り上がりを見せる中で残念な出来事もあった。DXシングルスTOP8の前にスマブラファンが他のゲームの大会中ににブーイングしたり、twitchのチャットも「DXはまだ?」であふれていたことで他のゲームのファンを憤慨させてしまったのだ。これについては非常に憂うべきことだが、Leffenももっともな指摘をする。
((他のゲームファンへの)敬意っていうのは一方通行じゃないだろ。個人的には他のFGCからの「未熟なスマブラキッズ」に対するヘイトのほうがその逆よりもよく目にしてきた。お互いちゃんとしようぜ) 

このようなゲームコミュニティ界の衝突は別タイトルの間だけでなく、スマブラに関して言えばDXとWii U版(SSB4)間の衝突も時に目に余るものがある。もちろん偏見や差別的感情がそう簡単に消えるなら苦労はしまい。できる限りコミュニティ間の交流を促し、根気強くヘイトの根をつぶしていかなければならないだろう。

SSB4編




(最高の日だ)
(温めておいたメタナイトとクラウドが命の恩人だぜ)
(スマブラ4はバランス良すぎて単キャラをメインにするのはもったいない。カウンターピックで金的してやれ)

(カウンターピックが新しいメタ。複雑な気分だ)
(自分のパフォーマンスには満足です。Zinotoは間違いなく僕の死神ですね。ANTiは最高にクールな神。応援ありがとうございます!)
(おいおい...Antiやるな、でもZinotoのプレイは神がかってたぜ)

そしておきまりのマリオネガキャン。
(うんだけどAntiはクラウドで勝ったからマリオは(キャラランク)トップ5じゃないよ)

今大会では相性の悪いキャラ相手に自分のサブをぶつけるカウンターピック戦略が多く目立った。ANTiの優勝もクラウドのカウンターピックが功を奏したものであり、これを受けて様ざなまトッププレイヤーが新たなサブの開拓を検討し始めている。来月の『EVO 2016』ではさらにおもしろいキャラピックが見られるかもしれない。

なお現在ツイッター上では番狂わせの原因が2ストック制にあるとして3ストック制の標準化を主張する動きが再び浮上している。その是非についてここで語りはしないが、もし強い意見があるならこうした議論に一言を投じてみてほしい。

2016年6月27日月曜日

『CEO 2016』 3日目 Wii U版 シングルス TOP 16

『CEO 2016』スマブラWii U版(SSB4)の勝者が決定した。Smashboardsのランキングトップ30のうち20名以上がずらりと顔を揃えるこの大会で決勝まで生き残ったのはなんとその中にはいない2名であった。「全キャラ使い」のユーティリティプレイヤーとして知られるANTiと、X時代からディディーコングを使用し続けるミシガンの英雄Zinotoが決勝を争う。結果Zinoto打倒に最適なキャラを見つけ出したANTiが初のシングルスメジャータイトルを獲得した。3位にはDabuzが続き、そして日本のあばだんご選手が4位という結果を収めた。もう一人日本人で残ったにえとの選手は13位タイの成績で大会を終えた。



SSB4 シングルス TOP 16

ベスト16は敗者側から幕を開け、1戦目から緊迫する戦いが繰り広げられる--ある意味で。言わずと知れた王者ZeRoに対するは悪名高いソニック使いWrath、「ガン待ち」というほかない戦法でZeRo(と観衆)を苦しめる。だがZeRoディディーもさすがの忍耐強さでこれを乗り切り、タイムアウトにより1ゲームを落としたものの3-1で勝利しベスト8に王手をかけた。

続いてメキシコのトゥーンリンク使いHyugaとロックマンを操るScAttがぶつかる。今大会HyugaはNairoを下し、ScAttはFOWを下しており、下克上の闘志あふれる2人はお互い一歩もゆずらない。フルセットの激戦を経て、次に駒を進めたのはトゥーンリンクの使い手であった。

VoiDシークがfallnのロゼッタを3-1で倒し、次の試合はにえとの vs sajとなる。昨日ESAMを破った地元フロリダのベヨネッタ使いsajに対しにえとのディディーは1ゲーム目を手堅く制する。だがsajもバナナ転倒にウィッチタイム(下B)を当てるプレイや1.1.5時代をほうふつとさせる空中コンボを決めてくらいつく。不運な自滅も響き勝負は第5ゲームにもつれこむ。ダックハントでのラストストックの戦い、にえとのが崖際でジャンプを消耗したところにsajが猛烈な低空復帰阻止でたたみかけ、にえとのは2-3で惜しくも敗北を喫しベスト8入りを逃す。



様々なキャラを操る多彩さが有名な2人、FalseとANTiが勝者側の1戦目となる。マリオを使うANTiに対しFalseはマルスとルイージを繰り出すが、どちらのキャラも万全の仕上がりには見えずミスも目立ち、ANTiが3-0でFalseを敗者側へと送り込んだ。さらにMr .RシークがNAKATのフォックス/ピカチュウを抑えこみこちらも3-0で終了。

一方でZinotoディディーとLarry Lurrフォックスの試合は熾烈を極める。終点、すま村をZinotoが制し、村と街、プププランドをLarryが制して勝負は終点に戻って第5ゲームへ。Zinotoがバナナ下強横スマで、Larryが空後でそれぞれストックを奪いストックカウントは1-1。そして最後にストックを取ったのはLarryの空中回避を読んだ空上であった。

『Apex 2015』『EVO 2015』『Pound 2016』に続き4度目の対戦となるあばだんごとDabuz、勝ち星では2-1とあばだんごが優勢。前回に引き続きメタナイトでDabuzのロゼッタを迎え撃つあばだんご選手。おそろしく効率的にチコを処理し空上連+上Bコンボの起点を狙いに行くあばだんごであるが、Dabuzも当然対策をしていないわけではない。なるべくステージ端で戦い、空上連の起点を当てられてもステージ外へのベク変でコンボを拒否するDabuzにあばだんごは戦略転換を迫られる。だが最後まで解答を見つけられないあばだんごはかろうじて1ゲームは奪うもののDabuzのロゼッタ/オリマー(あばだんごが勝った次のゲームのみ使用)に1-3で敗北し敗者側に回る。

そして大会は残るベスト8入りを決める敗者側ラウンドへ。Falseシークが他のキャラに比べ良好な仕上がりをみせてsajのベヨネッタ/ピーチを3-1で撃破。続くNAKAT vs HyugaでNAKATはトゥーンリンクのコンボを警戒してかネスを選択して闘う。各ゲーム健闘を見せるNAKATだがどのゲームも最後の一撃を当てるのはHyugaのトゥーンリンク、ストレート勝利でメキシコ代表がベスト8入りを果たす。

予選で敗者側に落とされてから粘りを見せるZeRoの前にLarry Lurrという巨大な壁が立ちはだかる。冷静に忍耐強く機会をうかがうZeRoディディーに対してLarryフォックスはパッションで猛進する。ZeRoを上Bで打ち上げたかと思えばリフメテオ(※これはSSB4の記事である)で地に落とす。さらに最後は低空踏みつけで王者から驚異のストレート勝利をおさめベスト8の地位を得る。ZeRoは参加したSSB4シングルス大会ではじめてのベスト8前での敗退を喫することになる。

続いてあばだんごが最近急激に力を挙げている美しきシーク使いVoiDと対戦する。村と街での1ゲームではあばだんごミュウツーがVoiDシークをきっちり抑えこみ勝利。プププランドでの次のゲームはVoiDがサブのフォックスにキャラに変更し、上B打ち上げ花火で1ゲームを取り返す。だがあばだんごもすぐさま適応し戦場での第3ゲームは2機残しで勝利する。追い詰められたVoiDは終点で再びシークに戻し、ここでは持ち前の美しいプレイスタイルを存分に魅せつける。針(NB)から空上をつなげる巧みな連携であばだんごの2ストック目を奪い、運命の勝負は再びプププランドへ。ここはあばだんごミュウツーのホームグラウンド、上Bエッジキャンセルによる変幻自在の立ち回りと上方向のバースト力(上投げ、上スマ)が光り、彼にベスト8入りを決める大きな勝利をもたらす。


SSB4 シングルス TOP 8

ここまで生き残り、メインステージのボクシングリングに立つことを許されたのはわずかに8名。勝者側にはANTi, Mr. R, Zinoto, Dabuzが、敗者側にはLarry Lurr, あばだんご, False, Hyugaが名を連ねた。

まずリングに上がったのはオランダのスタイリッシュシークMr. Rと「全キャラ使い」の異名を取るANTi。ANTi(ここではマリオ)は容易にバーストへのセットアップを作らせない立ち回りと恐ろしく大胆かつ的を射た読みで非常に高いスマブラの基礎力を魅せつける。Mr. Rも身体に染み付いたシーク操作であらゆる行動を織り交ぜてANTiを惑わすが、3-0でANTiに軍配が上がる。

Zinotoにつづいて登場したのはデータスマブラーDabuz, ノートPCを抱えながらボクシングリングに上がる。ディディーに関するデータには事欠かないはずだが、Zinotoのディディーはそれでは説明できないということだろうか。Zinotoは緩慢な立ち回りで試合をスローダウンさせたかと思えばわずかな間隙をついて急加速、次々とDabuzロゼッタのストックを奪う。不運な自滅も響いて1ゲームを落とすが2-1でZinotoがリーチをかけるとDabuzはX時代のメインで今もサブとして使用するオリマーを繰り出す。Dabuzオリマーがつくりだすピクミンの壁をあと一歩のところで攻略できず、Dabuzが3-2で逆転勝利を果たす。

日本でじっと見守る「大家族」のため(?)闘うあばだんごはLarry Lurrと相対する。上投げと空下メテオでLarry Lurrのフォックスを素早く葬るあばだんごに対しLarryは満を持してドンキーを繰り出す。村と街での第2ゲーム、終始優勢を保つあばだんごミュウツーであるが、ドンキーのほぼ即死投げコンボ、リフティング上投げ空上で2ストックを取られ敗北。だが次のゲームプププランドではまるでそんな隙を与えず、再び空下メテオで地に落として勝利するとLarryはフォックスに回帰。すま村での第4ゲーム、さらにストックカウントは1-1、両者KO%、滾る緊張、息を呑む観衆、そして終幕--あばだんごミュウツーの上投げが刺さりLarry Lurrフォックスは星となる。

敗者側第2戦は敗者側HyugaとFalseの争い。Falseは1ゲーム目シークを当てるがHyugaの巧みな飛び道具使いと非常に精緻に計算されたく近接戦を崩すことができず敗北。続いてマルスを繰り出すがこれもうまくはまらず糸口を見出だせないまま0-2と追い詰められる。ここでMr. Rがセコンドに入り(ここではセコンドは許可されている)助言を与えるとFalseは再びシークを選択してHyugaトゥーンリンクに立ち向かう。だが助言一つで崩せる相手ではないか、3ゲーム目もHyugaが終始圧倒する形でメキシコにまた一つ勝利をもたらした。

ここから先の戦いは言葉で語るのもおこがましい。ぜひその目で彼らの勇姿を見届けて欲しい(力尽きましたすみません...)。

ベスト8動画リスト

波乱に次ぐ波乱で世界を騒然とさせた今大会。これがただの神のきまぐれなのか、それとも新たな秩序なのかはまだわからない。次の超級メジャー大会、『EVO 2016』でその答えはわかるかもしれない。


最終結果
1位:ANTi(マリオ、ディディー、クラウド)
2位:Zinoto(ディディー)
3位:Dabuz(ロゼッタ、オリマー)
4位:あばだんご(ミュウツー、メタナイト、パックマン)
5-6位:Mr. R(シーク), Hyuga(トゥーンリンク)
7-8位:Larry Lurr(フォックス、ドンキー), False(シーク、マルス、ルイージ)

トーナメント表
https://smash.gg/tournament/ceo-2016/brackets/11789/45259/150418

2016年6月26日日曜日

『CEO 2016』 2日目 DX シングルス TOP 8 DX/Wii U版 ダブルス

フロリダで開催される格闘ゲーの祭典『CEO 2016』2日目後半にはDX, Wii U版(SSB4)のダブルス種目とシングルスのベスト8が執り行われた。DXダブルスではHungrybox/Mew2KingペアがPlup/Axeを下し優勝し、SSB4ダブルスでは黄金ペアAlly/Mew2KingがダークホースANTi/Larry Lurrコンビを長い戦いの末破ってタイトルを獲得。DXシングルスではHungryboxが決勝でMew2Kingから勝利し、またしても安定したパフォーマンスと逆境強さでメジャーの頂点に輝いた。

DX/SSB4 ダブルス

DXダブルスの勝者となったのはHungrybox/Mew2Kingという五神ペアで、Hungryboxプリンのダブルスでの凶悪さ(シングルスもだが)が光った。もう一方の本命PewFAT(PewPewU/SFAT)はPlup/Axeという隠れた強敵にうまく対応できず敗北し3位に終わる。

SSB4ダブルスではX時代から続く長年のペアAlly/Mew2Kingが多くの死闘を生き延び見事頂点まで上り詰める。2位に踊り出たのはANTi/Larry Lurrで、敗者側から驚異の粘りを魅せつけた。ANTi/Larryはダブルマリオ、あるいはマリオ/フォックスでMr. E/DKwill, Dabuz/Hyuga, Pugwest/Marss, Mr. R/Tweekという恐ろしい面々を次々なぎ倒す。さらには敗者側決勝で1度は敗れたZeRo/Nairoコンビにも、マリオでNairoクラウドを徹底して復帰阻止する戦略がはまり3-1でリベンジを決めた。Ally/Mew2Kingからも3-2で1セットは奪うものの最後はわずかに力及ばず、1-3で準優勝を得るにとどまった。

日本から参戦してベスト16までのこったにえとの/うめきペアはMr. R/Tweekに敗れ9位という結果に終わった。

DXダブルス最終結果
1位:Hungrybox(プリン)/Mew2King(シーク)
2位:Plup(シーク)/Axe(ピカチュウ)
3位:SFAT(フォックス)/PewPewU(マルス)
4位:Reno(シーク)/Lucky(フォックス)

SSB4ダブルス最終結果
1位:Ally(マリオ)/Mew2King(クラウド)
2位:ANTi(マリオ)/Larry Lurr(マリオ、フォックス)
3位:ZeRo(ディディー)/Nairo(クラウド、ゼロサム)
4位:Mr. R(シーク)/Tweek(クラウド)

トーナメント表

DX シングルス TOP 8

678人にものぼる参加者のうちメインステージ、ボクシングリングにまでたどり着いたのはわずかに8名。ここまでくれば誰もが目指すは頂点、意地と意地のぶつかりあいは凄烈な火花を散らす。

第1戦は勝者側準優勝、最近ではおなじみとなりつつあるHungrybox vs SFATとなる。直近の『Low Tier City 4』でもフルセットにまで持ち込んだだけに今回も堅実なゲームプランと針の穴を通すような復帰でじわじわとHboxを削る。しかしまたしてもストックリードを活かせず、重要な場面で決め切ることができないSFATフォックスはゲームを奪うことなく敗者側に送られてしまった。

続いてリングに上がるのは両方のダブルス種目を制し勢いに乗るMew2King、そして2ヶ月ぶりの大舞台で闘志みなぎるPlup。「投げ連なし」のシークミラー第1ゲームは戦場で開幕、一進一退の攻防が繰り広げられる。ここではPlupがじわじわとステージコントロールを固め、最後はM2Kの上B発動に空後を合わせる華麗な復帰阻止でこのゲームをものにする。華麗な復帰阻止といえば終点での第2ゲーム、ステージに戻ると見せかけてMew2Kingを崖におびき寄せ空前で捉えるというプレイが観客をどよめかせた。はじめはリードを許すM2Kも必死に食らいつき、Plupが下スマ復帰阻止をミスしたことにも救われラストストックで勝負はイーブン、そして生き残ったのはMew2Kingであった。夢の泉の第3ゲームはお互いやや不安定な試合運びが目立つが、ここでは僅差でPlupが勝利。

続く戦場の第4ゲームもストックカウント2-2までは互角の戦いとなるが、Mew2Kingが自身の住処である崖に向かうところをPlupがとっさに捉えてM2Kはそのまま落下、大きなリードを許す。会場から落胆のため息が漏れるが、Mew2Kingにはまったく折れる様子がなく、つかみからの美しいお手玉コンボですぐさまストックを取り返す。Mew2Kingコールが響く中流れは完全に彼のものとなるがPlupの精神力もあなどれず、こちらもつかみひとつからダメージを重ね崖外に出たのはM2K。振り返り下スマで勝負は決まるはずだったがまたしてもこれをミスしてMew2Kingが九死に一生を得、そのチャンスを活かしてこのゲームをかすめ取る。戦場に戻って最終ゲーム、またしても激闘の末ストックカウントは1-1、そして1-0に--カウントを1に保ったのはMew2Kingの赤シークであった。



敗者側ではベテランアイクラ使いChudatと新進気鋭のShroomedが相対する。メインのシークでの対アイクラに不安があるのかサブのマルスを繰り出すShroomedは夢の泉での第1ゲームを落とし、戦場の第2ゲームを取り返す。続くゲームではChudatが自身のピックした終点で力強い勝利を挙げて先にセットポイントを得る。追い詰められたShroomedはここからいつになく慎重で忍耐強い試合運びを見せてヨッシーストーリーで勝利、最後のポケモンスタジアムはラストストックの戦いへ。しばらく苦戦したのちナナの撃墜に成功するShroomedに対しChudatポポも粘りをみせるが、最後はShroomedマルスの横スマッシュがChudatを切り裂き、優勝への道を切り拓いた。

世界のファルコンプレイヤーの期待を背負うWizzrobeはアリゾナ出身の「ザ・ピカチュウ使い」Axeと当たる。ステージ上もステージ外もとびまわるポケモンを捉える機会を持ち前の忍耐強さでじっとうかがうWizzyだがAxeもそうそう隙は見せない。Wizzrobeもヨッシーストーリーで1ゲームを奪ったものの、Axeが戦場、終点、プププランドを制しWizzrobeを、そしてキャプテン・ファルコンを大会から葬った。

敗者側準々決勝SFAT vs ShroomedではSFATが怪物じみた潜在能力を遺憾なく発揮する。対シークのゲームプランは完璧といったところか、ヨッシーストーリー、戦場、プププランドでも終始安定してShroomedをリードする。結果3-0で悠々とShroomedシークを粉砕したSFATが敗者側準決勝への 切符をいち早く手に入れる。

Axe対ShroomedはAxeのホームグラウンド夢の泉で開幕し、ピカチュウがド派手なパフォーマンスで会場をわかせる。あわや4機残しといった圧倒的な試合運びで勝利をおさめると、その勢いで戦場の第2ゲームも3機残しで制してしまう--だが勝利に燃えるPlupはこのまま終わらない。再び戦場、Plupそれまで決められていなかった投げ連を次々と決め、空中でもAxeピカチュウを捉え始める。ラストストックでAxeピカチュウ下強のチップにも救われ、Plupが1ゲームを取り返し続くゲームは上スマKOが恐ろしいポケモンスタジアムへ。ここでは復帰阻止されるAxeというレアな光景を何度も目にすることになり、効率的にストックを奪ったPlupがリードを保ちさらに1ゲームを奪い返す。運命の最終ゲームはお互い一歩も譲らずポケモンスタジアムでのラストストック、Plupがシークつかみを得ると一気にAxeピカチュウにダメージがたまる。最後はステージの低いバーストラインがPlupに味方し、DA+空上が彼に逆転勝利をもたらした。落胆するAxeを後にし、Plupは歩みをすすめる。





そこまでの道のりは決して平坦ではなかったが、勝者側決勝に残ったのはやはりこの2人であった。Mew2Kingは例のごとくほぼ対プリン専用となっている緑フォックスでHungryboxのバンダナプリンに挑む。距離をとってレーザーでダメージをためて上スマor上投げ空上、かつてはそんな単純な戦略でも彼に勝利出来たかもしれない。だが彼が今対面しているのは2016年のHboxである。レーザーでダメージをためることすらもなかなかできず、ためられたとしてもバースト技がまずヒットしない。ポケモンスタジアムで1ゲームは取ったものの実力差は明確で、3-1でHungryboxが決勝進出を決めた。

翻って敗者側決勝、闘志みなぎるこの2人、PlupとSFATの戦いが戦場で開幕した。やはりSFATの対シークは非常に安定しており、Plupもくらいつくものの1ゲーム目はSFATの手に。シークで分が悪いとみたPlupはかつてのメインキャラ、Leffenを倒したことでも有名なサムスを繰り出す。相変わらず切れのある絶空+強攻撃を起点としたステージ上ゲーム、的確にジャンプをつぶす空前、飛び道具も交えたトリッキーな復帰阻止がSFATのフォックスを翻弄する。夢の泉で1ゲームを取り返し、終点ではなんとストックカウント4-1でPlupがほぼ勝ちを決めたように見えた。しかしSFATは恐ろしい粘り強さでPlupの飛び道具の合間を縫って(あるいはリフで跳ね返して)安全かつ猛烈な攻めを展開、次々とストックを奪い返していく。そして最後はPlupがシールドをといた瞬間に上スマで飛び込み、奇跡的な逆転劇を生み出した。第4ゲーム(ヨッシーストーリー)は一転して一進一退のままラストストックへ、極度の緊張下でお互いやや不安定なプレイもある中、このゲームおよびこの試合に終止符を打ったのはSFATの空上であった。Plupは笑顔でコントローラーを片付けるが、その表情の裏にある感情を知ることは出来ない。

波に乗るSFATはMew2Kingのシークにも手堅く勝利をおさめる。だが彼にはもう1つの切り札がある--終点で英雄王マルスがお目見えする。彼がひとたびフォックスをつかめば撃墜までの道筋が鮮やかに目に見える。SFATも的確なベク変で容易にはノックアウトされないが、的確さで上回るのはMew2Kingであった。美しき黒マルスのパフォーマンスは終点だけにとどまらず、SFATピックのプププランドでも2ゲームをものにして3-1でHungryboxへの再挑戦権を獲得する。

まさかそんなはずはないだろう--ウォームアップから聞こえてくるのは鋭い斬撃の音。まさかそんなはずはないだろう--ゲームが始まって画面に映るのは先程までフォックスを切り刻んでいた王子様ではないか。Mew2Kingがプリンに対してマルスを当てるのはここ数年見たことがなく、会場やtwitchチャット(そして筆者)からも興奮の歓声が轟く。とはいえやはりつかみに強く依存する彼の通常のマルスはプリン、特にHungryboxのプリンにはそのまま通用することはないか。Hboxがあっさり1ゲーム目を取ると観衆からもため息が漏れる。次のゲームはシークを試すもののやはり結果はHboxの勝ち。先程に続きスタジアムフォックスで1ゲームは取ったものの力及ばず、Hungryboxがまたしてもアメリカのメジャータイトルを我がものにした。


Hungryboxにやけくそでマルスを当てても勝てないのは当然と言える。しかし彼が操る多くのキャラの中でひときわ彼のポテンシャルを感じさせるのがこのキャラであり、ぜひとも対Hungryboxを本気で研究してみてほしいと願う。


最終結果
1位:Hungrybox(プリン)
2位:Mew2King(シーク、マルス、フォックス)
3位:SFAT(フォックス)
4位:Plup(シーク、サムス)
5-6位:Shroomed(シーク、マルス), Axe(ピカチュウ)
7-8位:Chudat(アイクラ), Wizzrobe(ファルコン)

トーナメント表
https://smash.gg/tournament/ceo-2016/brackets/11787/45263/150460

『CEO 2016』 2日目 Wii U版/DX シングルス TOP 64

総合格闘ゲーム大会『CEO 2016』の熱気はトーナメントに残る選手が減っていくごとに増していく。2日目にはDXシングルス/ダブルスがすべて終了し、Wii U版(SSB4)はダブルスが終了、残すはシングルスベスト16のみとなった。ここでは1日目前半の様子を振り返る。


SSB4 シングルス TOP 64 -> 16

なんという大会だろうか--昨日の予選でも想定外の展開が相次いだが、ここに巣食う魔物はこれだけでは満足しなかったようだ。

まず敗者側第1ラウンドで敗れ姿を消したのがなんとカナダの巨人Allyである(相手は同じくマリオ使いZenyou)。勝者側ではにえとのが地元フロリダのルフレ使いDathに僅差で敗れ、ラスベガス地区1位のネスを操るFOWがロックマンプレイヤーScAttに0-2で敗北、加えてVinnie(シーク)がNick Riddle(ゼロスーツサムス)から勝ち星を奪われ敗退。この結果にえとのとうめきが敗者側第2ラウンドで当たることになり、にえとのがうめきを置いて先へと進んだ。さらに同ラウンドでRain選手もdyrとのセットを1-2で落としトーナメントを後にする。

そして勝負は明日のベスト16への切符をかけた勝者側第2ラウンドへ。ユーティリティプレイヤーFalseがシークを操りTweekクラウドを2-0で力強く下し、もう1人のユーティリティプレイヤーANTiがマリオでなんとVoiDシークを2-0で倒す展開に。またディディー使いZinotoが現在世界2位のNairoゼロサムを2-0で打ち負かした。にえとのを破ったDathは欧州を背負うシーク使いMr. Rにこれまた良い勝負をみせるが惜敗に終わる。その他Larry Lurr(フォックス), Dabuz(ロゼッタ), NAKAT(フォックス)そしてあばだんご(ミュウツー)が順当に明日へと駒を進めた。



敗者側第3ラウンドは概ね下馬評どおりに進むが、FOWがファルコンメインFatalityから1-2で負けを喫し、またMarssがfalln(ロゼッタ)に1-2で敗れてまさかの早期敗退となってしまう。そして迎えた敗者側第4ラウンド、予選から敗者側マラソンを強いられたZeRoはこの日は1ゲームも落とすことなく破竹の勢いで明日に希望をつなぐ(このラウンドではDathを下した)。にえとのディディーはTheReflexWonderワリオのおなら(下B)の恐怖にも打ち勝ち2-1で勝利し、VoiDもFatalityを2-0で下しトーナメントに残る。Nairo, ESAM, Tweekも順当にベスト16入りを果たす--はずであったのだが。

メキシコのトゥーンリンク使いHyugaが『GENESIS 3』での下克上を再現してNairoゼロサムを2-1で撃破、さらにベヨネッタ使いsajがESAMの操るピカチュウをウィッチタイム上スマで葬り去ると会場から歓声がまきおこった(3ヶ月前なら考えられなかったことだが)。またTweekはロゼッタ使いfallnに1-2で敗れて17位で大会を終えた。その他ScAttとWrath(ソニック)がベスト16へと歩みを進めた。

結果をまとめると以下のようになる。番狂わせについて「BO3であまり使用されないキャラに当たると対応できない」という理由で「狂わされた」方に同情するのもいいが、それよりも「あまり使用されないキャラ」の可能性を信じて追求する選手の心意気を讃えたい。さて日本勢は不運なつぶしあいもあったが、4人のうち勝者側敗者側で1人ずつベスト16入りを決めており明日のパフォーマンスにも期待したい。

ベスト16勝者側:False(シーク), ANTi(マリオ), NAKAT(フォックス), Mr. R(シーク), Zinoto(ディディー), Larry Lurr(フォックス), Dabuz(ロゼッタ), Abadango(ミュウツー)
ベスト16敗者側:ZeRo(ディディー), Wrath(ソニック), VoiD(シーク), falln(ロゼッタ), Nietono(ディディー), saj(ベヨネッタ), ScAtt(ロックマン), Hyuga(トゥーンリンク)

本日敗退した主要選手:Ally, Vinnie, FOW, Marss, Tweek, ESAM, Nairo, うめき、Rain

トーナメント表
https://smash.gg/tournament/ceo-2016/brackets/11789/45259/150418


DX シングルス TOP 64 -> 8

こちらはSSB4大会に比べればまだ「穏やか」なトーナメントではあるが、各対戦の熾烈さはまったく負けていない。

諸事情により(気になる人は「Mew2King catfish」で検索)棄権を表明して撤回に至ったMew2Kingであるが、コンディションは至って好調のようであった。ベテランアイクラ使いChudatを下し、続いて相対するのは『Get On My Level』で敗北した中米出身のファルコン使いn0ne。そんな彼に今回は2-0でリベンジを果たすと、続いてShroomedとのシークミラーも3-0のストレート勝利を飾り悠々とベスト8進出を決める。一方Hungryboxはベスト8がかかる試合でマルス使いPewPewUと当たり、フルセットの激闘を鋼のメンタリティで攻略してみせた。またSFATもThe MoonやWizzrobeを下し勝者側ベスト8へ。



約2ヶ月ぶりにメジャー大会に姿を見せたPlupも堅調に勝者側を勝ち進み、3-0でDruggedfoxのフォックスを破ってベスト8に入る。なおこのセットは彼のフォックスを観ることが出来る珍しい機会だった。珍しい機会といえば敗者側Nintendude vs Swedish Delightでは、高度な心理戦の末ピーチミラーが繰り広げられる不可解な状況に。その後Nintendudeはメインのアイクラに戻ったがSwedish(シークメイン)はピーチで続行し、結果勝利を収めた(ピーチ対アイクラはピーチ有利とされるためアイクラにピーチを当てるのは合理的ではある)。

ベスト64第1ラウンドで敗者側にまわったChudatであるが、ここから驚異の粘りを見せる。Alex19, Gahtzu, Druggedfoxなどの難敵の壁を次々クライム(あるいはハンマーで破壊)し、『CEO 2010』ぶりとなる本シリーズベスト8入りを決める。伝説のピカチュウ使いAxeもファルコを織り交ぜつつKjh, Laudandus, そしてPewPewUからセットを奪いメインステージへの切符をつかむ。そしてWizzyことWizzrobeもS2JやLuckyまでも沈めたアイクラ使いdizzkidboogieをストレートで粉砕しまたしてもメジャーの舞台で上位8名の栄誉を獲得した。その他ShroomedもSwedish Delightとの投げ連シークミラーを3-1でものにして順当に駒を進めている。

ベスト16の時点でシークx6、アイクラx3、フォックスx2、ファルコンx2、プリンx1、ピカチュウx1、マルスx1というなかなか珍しいキャラ構成となった本大会。目を見張るような番狂わせこそなかったものの興味深いマッチアップや手に汗握るフルセット勝負にあふれたベスト64であった。ベスト8もすでに終了しているが、その振り返りは後ほど。

ベスト8勝者側:Hungrybox(プリン), SFAT(フォックス), Plup(シーク), Mew2King(シーク)
ベスト8敗者側:Chudat(アイクラ), Shroomed(シーク), Axe(ピカチュウ/ファルコ), Wizzrobe(ファルコン)



2016年6月25日土曜日

『CEO 2016』 1日目 Wii U版/DX シングルス他

世界最大級の格闘ゲーム総合大会『CEO 2016』の火蓋が切って落とされ、予選プールから大きな盛り上がりを見せた。Wii U版(SSB4)シングルスでは数多くの番狂わせが会場を騒然とさせ、この大会に潜む魔物の存在が垣間見えた。一方DXシングルス、各ダブルス種目では大方予想通り上位プレイヤーたちが順当にベスト64に駒を進めている。日本から参戦しているあばだんご、にえとの、うめき、Rain各選手はSSB4シングルスで全員予選を突破しベスト64入りを果たし、ダブルスでもうめき/にえとのペアがベスト16入りを決めた。


※昨日の記事でDX出場選手の中にLeffen, Mang0が含まれていましたがこの時点ですでに両名の棄権は決定していました。申し訳ありません。


SSB4 シングルス

この大会は予選から波乱の様相を呈する。まず王者ZeRoがパルテナ使いPrince Ramenに0-2で敗れた瞬間をもし見逃したのであればすぐ見るべきであろう。


彼はこの後敗者側で勝ち進み無事ベスト64に進出した(予選最終戦も非常に接戦だったがZeRoが紙一重で制した)が、頂点までの道のりは険しいものとなるだろう。しかし彼は極度のプレッシャーにも決して屈しない精神力の持ち主である。実際昨年の『The Big House 5』でも予選で敗者側に落とされてから立ちはだかる有力選手達を次々なぎ倒し優勝まで持って行ったこともある。この段階で「彼の時代は終わった」などと嘆くのはあまりにも時期尚早であろう。

さて番狂わせはこれだけでは終わらない。そんなZeRoを直近で2度破っているAllyも予選で敗れ敗者側での突破となり、さらにVinnieやMarssまでもが敗者側でのマラソンを余儀なくされている。少なくとも彼らは予選を突破しておりまだいくらでも可能性は残されているが、一方で完全に道が閉ざされてしまったプレイヤーもいる。その中にはZeRoから「最強のリュウ」と称されたTrela、「最強のアイク」との呼び声の高いRyo、さらには言わずと知れたトップランカー6WXやMVDまで含まれている。

そんな中日本勢は異邦の地で実力を存分に発揮し、あばだんご、にえとの、Rainの3名が勝者側で予選突破、うめきもDKWillに敗れたものの敗者側で希望をつないでいる。

次々と沈み行く将もいれば新たに名を挙げる雑兵もいよう。彼らが下克上をなすのか、はたまた序列が保たれるのか--その答えはもうすぐ明かされる。

DX シングルス

エントリーしていなかったArmadaに加えLeffen, Mang0も不参加を表明し、さらにMew2Kingも大会途中で棄権したため(その理由はこちらから)例年に比べやや注目度の下がる今大会。とはいえそれでもランキングトップ50名のうち約30名が参加するこのトーナメントが刺激的でないはずはないだろう。SSB4ほどではないが、こちらも先の『Low Tier City 4』で活躍を見せたESAM、Armadaに次ぐとされるピーチの使い手MacDが予選落ちするなどいくつか予想外の展開もあった。

今後の見どころとしては(かなり個人的かもしれないが)キャプテン・ファルコン勢Wizzrobe, S2J, n0ne, Gahtzuらがどこまでいけるかにまず注目したい。また大規模な大会に姿を見せるのが4月の『Smash Summit 2』依頼となるPlupの復帰戦の行方も気になるところ。


結果一覧

スケジュール等はこちら。(変更の可能性あり)

2016年6月24日金曜日

今週末の見どころは? 6/25-26 『CEO 2016』

今週末はいよいよ総合格闘ゲーム大会『CEO (Community Effort Orlando) 2016』が開催される(もう開催されている)。スマブラからもDXとWii U版(SSB4)でそれぞれシングルスとダブルスが開催され、日本含め世界中から猛者が集結する。スケジュールなどを確認しよう。


  • 主要出場選手
DX: Hungrybox, Leffem, Mang0, Mew2King, Plup, Westballs, Axe, Shroomed, Lucky, SFAT, PewPewU, MacD, S2J etc.
Wii U版: ZeRo, Nairo, Mr.R, Dabuz, ESAM, Ally, Larry Lurr, MVD, Vinnie, VoiD, 6WX, Mew2King, Trela, あばだんご、にえとの、Rain、うめき etc.

もはやトッププレイヤーで出場しない選手を挙げたほうが早いレベル。残念ながらDXでArmadaは出場しないが、それでも十二分に見応えのある、むしろ見応えしかない大会となるだろう。

  • スケジュール(日本時間は+13)

イベントスケジュール


ストリーミングスケジュール


  • ストリーミング

スマブラ英会話 スマブラ用語編 #2 基本技・テクニック

前回は固有名詞にしぼって英語のスマブラ用語を紹介したが、今回は技の呼称や基本的なキャラ共通テクニックの英語表現を紹介する。

※なお、ここに記載するのは一般に競技シーンでつかわれる呼称であり、必ずしも公式のものとは一致しないことに注意してください。

なお対応する日本語は名詞形にしているが、ほとんどの英語の用語はそのまま動詞(自動詞、他動詞)としても使用される。

例) 
Yo, did he just walk up, slowly, and down smash?
「おいおい、今ヤツはゆったりと?歩み寄って?下スマしたのか?」
We tech those, guys, we tech those.
「あれは受け身できるんですよみなさん。受け身できるんです」

1. 技名

  • Jab: 弱攻撃
  • Dash  attack: ダッシュ攻撃
  • Tilt: 強攻撃。Tiltは「傾ける」の意味
    • Forward tilt (F-tilt): 前強
    • Up tilt: 上強
    • Down tilt: 下強
  • Smash: スマッシュ攻撃
    • Forward smash (F-smash)
    • Up smash
    • Down smash
  • Aerial: 空中攻撃
    • Neutral air (Nair): 空N。略した時の発音は「ネアー」
    • Forward air (Fair)
    • Back air (Bair)
    • Up air
    • Down air (Dair)
  • Special: 必殺技。長ったらしいので実況ではわざわざspecialとは言わない
    • Neutral B
    • Side B (Forward B)
    • Up B
    • Down B
  • Grab: つかみ
    • Dash grab: ダッシュつかみ
    • Pummel: つかみ攻撃
  • Throw: 投げ
    • Forward throw
    • Back throw
    • Up throw
    • Down throw
  • ガード・回避
    • Shield: シールド、ガード。guardとは言わないことに注意
    • Light shield: Zシールド(DX)
    • Spot dodge (Side step): その場回避
    • Air dodge: 空中回避
    • Roll: 緊急回避。「転がる」の意味
  • Jump: 
    • Double jump: 2段ジャンプ
    • Short hop: ショートジャンプ。short jumpとは言わないことに注意
    • Footstool: 踏みつけ(X以降)
    • Wall jump: 壁蹴り
  • Taunt: アピール。「挑発」の意味

2. 基本共通テクニック

  • 移動あれこれ
    • Walk, Dash, Crouch, Crawl: 歩く、走る、しゃがむ、しゃがみ歩きする
    • Dash dance: ステップ
    • Wavedash: 絶、絶空(DX)
    • Waveland: 台絶空、崖絶空(DX)
    • Perfect pivot: TANIステップ、立ちキャンセル。pivotは「方向転換」
    • B-reverse: 空中ダッシュ
  • Tech: 受け身
    • Tech in place, Tech roll in, Tech roll away: その場での受け身、相手のいる方向へ回避する受け身、相手から離れる方向へ回避する受け身
    • Get-up attack: 起き上がり攻撃(崖からの場合も同じ)
    • Amsah tech: 床受け身。オランダのプレイヤーAmsahから。攻撃を受ける際下方向にベク変してあえて地面にぶつけり受け身を取ることで吹き飛びを拒否すること。
    • Tech chase: 受け身狩り
  • DI: ベクトル変更。Directional Influence「方向に影響を与える」から。SSB4では前作までと原理が異なるため一時はvectoringという用語が使われたりもしたが今はこれに落ち着いた
    • Survival DI: 撃墜を拒否するためのベク変
    • Combo DI: コンボから脱するためのベク変
  • SDI: ヒットストップずらし。Smash DIから。スマッシュ入力を行う容量でスティックをはじく動作に由来
  • Crouch cancel: しゃがみ耐性
  • 復帰関連
    • Recovery: 復帰
    • Sweet-spot: 崖つかまり
    • Edge-guard (Ledge-guard): 復帰阻止。edgeは「端」、ledgeは「崖」でどちらもよく使われる
    • Ledge trump: 崖奪い(SSB4)
    • Gimp: (吹き飛ばしによるKOを伴わない)復帰阻止。フォックスのリフメテオなど
  • ガード関連
    • Power shield: ジャストガード
    • Shield-drop: シールドドロップ。直前までシールドを張ったまま足場から降りること
    • ... out of shield: 「シールドから出て」の意味でガードキャンセルを表す。Up B out of shield, Nair out of shield のようにつかう。
  • つかみ関連
    • Pivot grab: 反転つかみ
    • Chain grab: 投げ連
    • Tomahawk grab: トマホークつかみ?ジャンプで攻撃に移行すると見せかけてそのまま着地し相手をつかむテクニック
    • Command grab: 「つかみ」とは異なるが、クッパの横B、ガノンドルフ(X以降)の横Bなどガード中の相手を「つかむ」ことができる技
  • メテオ関連
    • Spike: DXでは裏メテオともよばれる。メテオ返しができない下方向への吹き飛ばし技はすべてspikeと呼ばれるため、DXの一部技を除いてmeteor smashという語が使われることはない。Dunk, dipなど様々な表現があるが用語としてはspike。
    • Stage spike: 崖メテオ
    • Meteor smash: メテオ
    • Meteor cancel: メテオ返し
  • 判定関連
    • Hitbox: 技の当たり判定
    • Hurtbox: キャラの当たり判定(攻撃を受ける範囲)
  • ダウン関連
    • Jab reset: 弱起こし
    • Jab lock: ダウン連
  • 撃墜等
    • Kill, K.O: 撃墜(する)
    • Die: 撃墜される(こと)、ストックを失う(こと)
    • SD: 自滅(する)。Suicidal Death「自殺」から。
  • 戦略関連
    • Option: 行動の選択肢
    • Read: 読み。Yomiという語を聞くことも有る。
    • Mix-up: 択を書ける。読み合いにする、読み合いを広げる。「混ぜこぜにする」を意味し、様々な行動を織り交ぜることで相手に行動を読まれにくくすること
    • Punish: 相手の隙、甘い行動を狩る(こと)。直訳は「罰を与える」

テクニックに関しては色々ありすぎておそらく全然網羅しきれていませんが、もし「英語でこれなんていうの?」とか「英語の実況で◯◯っていってるのは何?」などの疑問がありましたらコメントをいただければできるだけお答えします。もちろん「これは違う」というご指摘があれば積極的にいただけると幸いです。次回からはキャラクター別の用語に入る予定です。

※6/25 コメントを受けて修正。

2016年6月23日木曜日

スマブラ名場面集 #2 『CEO 2015』 新時代の潮流 -- Smash Historical Moments #2 The New Era

スマブラ含めあらゆる格闘ゲームにおける世界トッププレイヤーたちが一堂に会する超級メジャーシリーズ『CEO(Community Effort Orlando)』、今週末にはその5回目の大会となる『CEO 2016』がアメリカはフロリダで開催される。数々のドラマを生み出してきた本シリーズであるが、昨年の『CEO 2015』ではスマブラDXの新時代の幕開けを告げる歴史の転換点が訪れる--William Hjelte, "Leffen"の優勝である。

Leffenの2015年は欧州の国際トーナメント『B.E.A.S.T 5』から始まる。この大会彼はArmadaとアメリカからのゲストMang0という2人を下し(Mang0からは初の勝利)て優勝を飾り、五神のうち勝利を挙げていない相手は残す所Mew2Kingのみとなった。続く『Paragon Orlando2015』ではMew2KingとPlupに敗れたもののまたしてもArmadaを倒し、3位という結果を収めた。『Apex 2015』でも3位に入り、ここでは再びMang0を破り、さらにBO3ではあるがMew2Kingを倒して「神殺し」を達成した(ArmadaとPPMDに敗北)。※6/24 修正

しかしこれに続く大規模な大会では五神相手になかなか勝利を上げられず、彼らに勝利したのもただのまぐれかという冷めた見方が広がりつつ合った。そんな中訪れたのがこの大会、『CEO 2015』であった。


Leffenの今大会最初の試練は新進気鋭のシーク/サムスプレイヤーPlup。


ギリギリのところで勝ちをつかみとったLeffenはつづいてMang0を倒して勝ち上がってきたShroomedと対戦する。


今度は終始リードを奪い力強く勝利をものにする。そして勝者側決勝、スウェーデンの同胞であり、師でありライバルでもあるこの男、Armadaと相まみえる。


激戦の末勝者となるLeffen、しかしまだ終わりではない。敗者側でMang0を下したArmadaが再びLeffenの前に立ちはだかる。


そして終焉--誰もが認めざるをえない安定のパフォーマンスでセットを落とすこと無くこの大会の頂点に立ったフォックス使いLeffen。しかし彼は正真正銘の「世界一位」の座を得るべく歩みを止めない。直後の『WTFox』でもMang0, Mew2Kingを打破し、『Super Smash Con』ではMew2Kingを2セットに渡りゲームカウント6-1で圧倒した。※ 6/24 修正

その後『League of Legends』や『Counter-Strike: Global Offensive』のチームが世界的に有名なe-Sports団体Team SoloMidをスポンサーとして獲得するなどどの躍進はとどまるところを知らない--かに思えた。スウェーデン国籍でありながらアメリカのスポンサーから報酬を得ている関係からかアメリカ滞在ビザの取得ができなくなり、その後『The Big House 5』『Smash Summit』『GENESIS 3』など多くの超級メジャー大会に欠場を余儀なくされる。

その後"#FreeLeffen"「Leffenを解放せよ」の合言葉のもと彼にスポーツ選手向けに発行される「アスリートビザ」の発行を訴える署名活動が行われ、全世界から10万もの署名が集まった。これはLeffen個人の問題ではなく、e-Sportsプレイヤー全員に関わる問題であるため、スマブラ以外のコミュニティからも多くの関心が寄せられた。この署名による訴えが受理され、彼は7月末までアメリカに滞在することを許可され、『CEO 2016』や『EVO 2016』への参加が可能となった。

それまでの間もLeffenは手をこまねいていたわけではなく、カナダで行われ多くのトッププレイヤーを招いた『EGLX(Enthusiast Gaming Live Expo)』や『Get On My Level』に出場し、後者ではなんとMew2King, Armada, Hungrybox, Mang0の4人を下して1位に輝いた。


かつては粗野な言動・行動、人を見下す態度でコミュニティから大きな反感を買い欧州では大会参加を禁じられた時期もあった。Mang0含めトッププレイヤーの多くも彼のことを敬遠していた。しかしプレイヤーとしてだけでなく人としても徐々に成長を見せる彼に対し人々の見方は変わりつつある。

10年近く最上位プレイヤーの顔ぶれが変わらないのは驚くべきことであるとともに危惧すべきことでもあるだろう。そんななかで堅い岩盤を打ち破り神々の根城に風穴をあける彼の存在はあらゆる意味で非常に重要と言える。さあLeffenよ、新しい時代を見せてくれ。

ソース
http://www.ssbwiki.com/Leffen
http://tsm.gg/index.php/news/leffen-visa-update/
https://www.reddit.com/r/smashbros/comments/4krmin/freeleffen_complete/

2016年6月22日水曜日

データで見るスマブラ Wii U版編 #1 『Apex 2016』 クラウドのリミットブレイク利用傾向 -- Smash for Wii U Statistical Breakdown #1 Cloud Limit Breaks

先週末大きな盛り上がりを見せた『Apex 2016』ではシングルスベスト16に4名のクラウド使いが名を連ねた。しかし同じキャラであってもその使い方にはそれぞれの個性がはっきり表れるのがこのゲームである。ここではこの4人のクラウドのプレイスタイルをリミットブレイクの利用傾向から分析してみる。

まずリミットブレイクに関する基本的なデータを以下に示す。(ソース:SmashWiki)

ゲージを貯める条件(それぞれ単一の条件のみで貯める場合):

  • 下Bを合計400フレーム(6.67秒)発動する
  • 自分が相手にダメージを与える場合、100%でゲージがたまる
  • 相手が自分にダメージを与える場合、250%でゲージがたまる

リミットブレイク状態でのステータス変動:

  • 重力、落下速度、初動ダッシュ距離、走行速度が10%上昇
  • 歩行速度、摩擦抵抗(滑りにくさ)が15%上昇
  • 空中移動速度・加速度が20%上昇
  • 各必殺技がそれぞれ強力な技に変化する(必殺技を出すとリミットブレイク状態は解除される)

以下は『Apex 2016』で配信された試合で、各選手がクラウドを用いたゲームのデータをまとめたものである。ここではベスト16に残ったMew2King(4位)、James(7位)、Rain(9位)、Tweek(7位)の4名を比較する。



なおもちろんそれぞれ対戦相手、対戦キャラクターおよびステージが異なるためデータとしての正確性はあまり保証できないが、おおよその傾向はつかめるのではないか。

イメージ通り、Mew2KingとJamesはリミットゲージがたまり次第積極的にリミットブレイク技を使用していく傾向がある。一方TweekとRainはよりリミットブレイク状態を保持し、ステータス上昇を利用した立ち回りに重きをおいていることがうかがえる。

基本的には敗北したゲームの方がリミットブレイク技利用頻度は減る傾向にあるが、これには2通りの解釈ができる。1つは「負けているということは自分がダメージをあまり与えていないということであり、このためそもそもゲージがなかなかたまらなかった」という解釈。もう1つは「リミットブレイク技をあまり使用しなかったから負けた」という解釈である。一方でRain選手のみ敗北時のほうが利用頻度が高くなっているが、これは「押され気味でリミットブレイク中崖外に出されることが多く上B復帰をせざるを得ないことが多かった」あるいは「リミットブレイク技をむやみに使いすぎたから負けた」の2通りにざっくり解釈できる。

なおMew2Kingのリミットブレイク技利用頻度が思ったより少ないと感じる人もいるかもしれない。これはデータを細かく見ると2セット目対SUperGirlKels(ソニック)戦が大きく影響していることがわかる。この3ゲーム(勝利)での利用頻度は1.01回/分と平均よりだいぶ低くなっており、これを除くと勝利時の平均は1.67回/分と4人中最大となる。推測でしかないが、これはソニックを捉えるためにはリミットブレイク時のステータス上昇が必要であり、なるべくこれを維持して戦うのが得策と考えたためかもしれない。

Mew2Kingの傾向を見るとなるべく積極的にリミットブレイク技を利用したほうがいいのかとも思えるが、当然そうそう単純な話ではない。Mew2KingがSuperGirlKelsとの1セット目で敗北したのちスタイルを切り替えて(利用頻度を下げて)ストレートで勝利出来たように、相手キャラやステージ等によって適切な戦略は変わるだろう。またプレイヤーの他の立ち回りとの相性というのもある。

参考までに以下に撃墜技の割合のグラフを全体、各個人について示す。


"LB Side B"はリミットブレイク時横必殺技のこと。"Air"は「空中攻撃」を意味し、例えば"Back Air"は「空中後攻撃」をさす。"Neutral Air"「空中ニュートラル攻撃」での撃墜は復帰阻止によるもの。

どのプレイヤーもやはりリミットブレイク時横必殺技(凶斬り)による撃墜が多くなっている。Mew2KingやTweekは非常にバランスのとれた撃墜方法をとっているのに対し、Jamesはリミットブレイク凶斬りに大きく偏っているのがわかる。RainはOtherが多くなっているがこれにはダッシュ攻撃、横スマッシュ、空上などが含まれており、非常に多彩な撃墜方法が特徴ともいえる。

もちろんリミットブレイク凶斬りが多いのは「わざわざ他の技を組み合わせて読み合いにするまでもない相手とあたっているから」という理由付けができるし、一概に一つの技に頼るのが悪いわけではない。しかし一般に適度な数の方法を織り交ぜることで相手に予測されにくくかつ自分の中で一貫した戦略が立てやすいというのは言えるのではないだろうか。

「たかが一つの大会のデータだけは何も証明できない」と言われればそのとおりであり、今後はもっとデータを蓄積し、より詳細な分析を提示していきたい。


2016年6月21日火曜日

『Low Tier City 4』 DX/Wii U版 シングルス他

DX、Wii U版(SSB4)、Project M(PM)の世界的な精鋭たちが集結した『Low Tier City 4』の熱い2日間が終幕した。DXダブルスでは南カリフォルニアコンビMang0/LuckyがESAM/Hungryboxを破り、SSB4ダブルスでは世界トップ2のOPコンビZeRo/NairoがダークホースTrela/Cosmosを紙一重で下しそれぞれ優勝した。シングルスではHungrybox(DX), ZeRo(SSB4)が安定したパフォーマンスでそれぞれMang0, Nairoに勝利して優勝を収めた。PMでは並みいる強豪をなぎ倒しThundeRzReiGNがシングルスの、Lunchable/Dakpoがダブルスのタイトルを獲得した。

DX シングルス


ベスト8勝者側には下馬評通りMang0, Wobbles, Hungrybox, Luckyが残る。一方敗者側にはWizzrobe, Uncle MojoのほかSSB4プレイヤーの印象のほうが強いESAMや、格上JAVIを倒して勝ち上がったTai(Tajではない)というメンバーが名を連ねた。

勝者側準決勝1戦目はHungrybox vs Lucky、はじめの2戦は一進一退の攻防が続きセットカウントも1-1に。だがLuckyフォックスのカウンターピックステージ、ポケモンスタジアムではLuckyの恐れを知らぬ猛攻にHboxプリンはなすすべなくなんと4機残しでLuckyが勝利する。この勢いのままさらに戦場での第4ゲームもリードを許し追い込まれるHboxだが、持ち前の鋼の精神でバーストを焦るLuckyの隙を冷静についてゲームを奪い返す。第5ゲームもラストストックの戦いとなるがここでもHboxの精神力がLuckyを上回り、彼の勝利の雄叫びが会場に響いた。

もう一方の勝者側準決勝はMang0フォックスとWobblesアイクラ(アイスクライマー)の対決となる。Wobblesの名前を冠するアイクラの無限つかみハメWobblingの対策を聞かれて"You just drill"「空下すればいいんだよ」と答えたことで有名なMang0。その言葉の通り空下+リフで効率よくナナとポポを切り離すMang0にWobblesはWobblingに頼らない戦いを余儀なくされる。もちろんそのようなセットアップに頼らずとも戦えるからこそ彼はこの場にいられるのであり、アイクラの長い絶レンジを駆使したトリッキーな立ち回りや流れるような復帰阻止でMang0を苦しませる。だがやはり実力は一歩及ばずか、3-0でMang0が勝者側決勝進出を決める。

敗者側ではESAMとTaiが相対する。XやSSB4のトッププレイヤーとして有名なESAMだが、ここ最近はサムスメインとしてDXの大会にも積極的に参加して急激に力を上げている。今大会でもそのポテンシャルの片鱗を魅せつけてここまで勝ち上がり、対サムス経験に乏しいと見受けられるTaiマルスも3-0で下してさらに上を目指す。彼の次の相手は同じくPanda GamingのWobblesとなるがここでもその力を存分に発揮する。下スマというポポナナの分断に有用な技があり、自由度の高い復帰があり容易に復帰阻止されないというサムスのキャラ特性をしっかり活かしWobblesに試合を運ばせないESAM。Wobblesも忍耐強く少ない好機を確実にものにして対抗するがわずかに及ばず、3-2でESAMに軍配があがった。

最近のメジャー大会でベスト8の常連となっているWizzrobeは地元テキサスの有力プレイヤーUncle Mojoを3-1で倒して勝ち進む。だが次の相手は南カリフォルニアの巨人Luckyである。2ゲームをLuckyが連取してこのまま試合が終わるかに思えたがここからWizzyの内なる炎が燃え上がる。ステップからのつかみを起点とした地上戦はもちろん、空上、低空膝(空前)や膝での後方飛ばしなど状況に応じた多彩な復帰阻止。Wizzrobeの真価が徐々にその姿を現し、連続で3ゲームをものにしてLuckyから勝利をもぎ取った。

『Get On My Level』での勝利を再現するべくMang0はHungryboxと対峙する。だが前回の対決で功を奏したレーザー中心のディフェンシブなスタイルではなく今回Mang0は平常通りのアグレッシブな攻めを展開する。しかしこれがあまりうまくはまらず2ゲームを落とすと一転してレーザー中心にスタイルを移す。だがプリンの上投げをベク変しない、ガードするプリンに上スマを放つ、崖際からプリンの待ち受ける方向に回避するなどHboxのねむる(下B)のセットアップに連続ではまりあっという間にこのゲームも落としMang0は敗者側に送られる。

敗者側準決勝はESAM vs Wizzrobeというおそらく誰も予想しない組み合わせとなった。ここではWizzrobeの計算されたゲームプランにESAMは付け入る隙を見出だせず、苦し紛れに繰り出したフォックスも粉砕され3-0でWizzrobが敗者側決勝に駒を進める。Mang0から何としても勝ち星を得たいWizzyだが相手はファルコンのことは知り尽くした五神の一角であり、それはどう見積もっても容易に成し遂げられるものではない。Mang0がストレートでWizzrobeを下し、Wizzrobeがステージを去る中Mang0はそのままHungryboxを出迎える。

先ほどの試合を反省してか、いつになく慎重で忍耐強い試合運びを見せるMang0は戦場での1ゲーム目を取得。プププランドでの第2ゲームはHboxプリンのホームグラウンドとあってHboxが取り返すが、自身のホームグラウンドヨッシーストーリーでMang0は勝ちを収めたい所。それまでと同様に慎重な試合運びを続けるMang0であるが、忍耐勝負であればそれはむしろHungryboxの十八番であろう。空上バーストというレアな瞬間が訪れ、3-1でこの試合、このセット、そしてこの大会を制したのはこの男、Hungryboxであった。




最終結果
1位:Hungrybox(プリン)
2位:Mang0(フォックス)
3位:Wizzrobe(キャプテン・ファルコン)
4位:ESAM(サムス)
5-6位:Wobbles(アイスクライマー)、Lucky(フォックス)
7-8位:Tai(マルス)、Uncle Mojo(フォックス)


SSB4 シングルス


今回はZeRoが王者の力強さを存分に観衆と対戦相手に魅せつけ、『PAX Arena』以来となるメジャー大会優勝を果たした。それに続くは世界2位のNairoとここまでは下馬評どおりの順位。しかし3位に入ったのはメキシコのトゥーンリンク使いHyuga、そして4位で終えたのはメジャー大会初参戦のダークホース、カムイ使いCosmosであった。HyugaはMVDやESAMを下す躍進を見せ、Cosmosも初の大舞台とは思えない落ち着いたプレイで猛威をふるう。

X時代からドンキーに忠誠を誓うプレイヤーDKWillが7位に終わるなか、これまたメキシコからやってきたフォックス/ピカチュウ使いMookやルカリオ/ゲッコウガ使いGibusいったあまり名の知られていないプレイヤーがMJGやMVDなどを上回る成績を残した。

ZeRoは大会後のインタビューでは疲弊した表情で「Nairoは本調子じゃなかった」と語り今回の結果にあまり満足はしていない様子だった。しかし大きなプレッシャーの中昨年に引き続き2連覇を成し遂げた彼は間違いなく賞賛に値し、今週末の超級メジャー、『CEO 2016』でも彼のパフォーマンスに期待したい。

最終結果
1位:ZeRo(ディディーコング)
2位:Nairo(ゼロスーツサムス)
3位:Hyuga(トゥーンリンク)
4位:Cosmos(カムイ)
5-6位:Mook(フォックス、ピカチュウ)、ESAM(ピカチュウ、カムイ)
7-8位:DKWill(ドンキーコング)、P2P with Gibus(ルカリオ、ゲッコウガ)

『Apex 2016』 3日目 Wii U版/DX シングルス

『Apex 2016』全日程が終了し、シングルス種目の結果も出揃った。DXは大方の予想通りMew2Kingがトーナメント中1ゲームも落とすことなく優勝を飾った。Wii U版(SSB4)では決勝戦でDabuzが勝者側のままVoiDを3-2で下し栄冠に輝く。日本勢は唯一ベスト8に残ったにえとの選手が敗者側で意地の粘りを見せて3位という結果を収めた。


DX シングルス TOP 4



参加した数少ないトップ100ランカーの面々が順当にここまで残った。勝者側はMew2King, The Moon、敗者側はMafia, DJ Nintendoがそれぞれぶつかる。勝者側の戦いは大きな見せ場もなくM2Kが3-0で勝利する。

一方でMafia vs DJ、MafiaピーチがDJフォックスを圧倒する思わぬ展開に。DJの空上をMafiaはコンスタントにSDI(ヒットストップずらし)で拒否、スウェーデン人を彷彿とさせるカブでの狙撃など効率的な復帰阻止を見せてMafiaが2ゲームを連取する。追い詰められたDJはサブのピカチュウにキャラ変更し戦場へ、ラストストックの接戦の末上スマで1ゲームを取り返す。しかしピカチュウにも不安を覚えたのか今度はマリオを選択して姫を倒しに行く。マント(横B)でピーチのカブ(下B)を華麗に処理する好プレーもあったものの最後はDJの自滅によりMafiaが敗者側決勝に駒を進めた。

このピーチ対マルスのバトルは忍耐強さが試されるものとなった。The MoonマルスはコンボがはまらないMafiaピーチに対して弱や強攻撃で細かく相手を削り、一方Mafiaは浮遊で間合いを図りカブで牽制しながら隙を狩りに行く。結果この争いに競り勝ったのはMoon、Mafiaもプププランドで1ゲームを奪うものの力及ばず3位でフィニッシュ。

決勝戦は勝者側決勝の再戦となるが、さすがにM2Kはまるで格が違う。この試合も3-0で勝利し1ゲームも落とすことなく大会を終え、Mew2KingがついにApexシリーズシングルス種目で初の優勝を果たした。


最終結果
1位:Mew2King(シーク、マルス)
2位:The Moon(マルス)
3位:Mafia(ピーチ)
4位:DJ Nintendo(フォックス、ピカチュウ、マリオ)


SSB4 シングルス TOP 8

SSB4の"Apex"を決める最後の闘いはデータスマブラーDabuzと笑顔がまぶしいSuperGirlKelsの対戦で幕を開ける。すま村での第1ゲーム、はじめはお互い慎重に出方をうかがう展開が続くがKelsソニックの空後がDabuzロゼッタを撃墜して均衡を破る。しかしチコの処理に苦慮するKelsは不運な自滅もあり波にのることができない。ホーミングアタック(NB)でのなめらかな復帰で観客をわかせたのもつかの間、Dabuzロゼッタの空下の跳ね返りによりKelsソニックは星になってしまう。終点での第2ゲーム、SuperGirlKelsはもはやチコを無視する勢いで空中機動力を活かしロゼッタに直接猛攻を仕掛けに行く。崖の真下から復帰しようとするDabuzにトランポリン(上B)、トランポリン、下スマというこの上なく美しい復帰阻止を決めるKelsだがその後またしても復帰ミスで自滅してしまう。このように今ひとつ勢いを味方につけられないスーパーガールは大いに健闘を見せたものの0-3で敗者側に送られる。

もう一方の勝者側準決勝はMarss(ZSS) vs VoiD(シーク)、すま村で"Go"がかかったかと思うと全力の殴り合いが繰り広げられる。飛び道具で牽制しあう状況かと思えば目にも留まらぬ近接コンボが展開されるこの試合は片時の油断も許されない。一瞬でも気を抜けばZSSの下スマにかかる、シークの跳魚(下B)が飛び込んでくる、ZSSのGC(ガードキャンセル)上Bに弾き飛ばされる、強化されたシークの下スマに射抜かれる。そして気づけば試合は2-2で最終ゲーム最終ストック、減速することを知らないこの勝負、終わりを告げる鮮烈な赤い稲妻が放たれる--VoiDシークの両腕から。

敗者側Mew2King vs James、クラウドミラーになることが心p..予想されたがJamesはディディーを選択する。昨今の「敗者側M2K」は決して侮ってはいけない。非常に効果的なリミットブレイクおよび無謀にも見える果敢な復帰阻止が光り3-0で敗者側を突き進む。

そしてにえとのの本日第1戦、対するは若干18歳の神童Tweek。この試合もディディー対クラウドとなるが、今回支配権を握ったのは大剣ではなくバナナの皮であった。気持ちの良いダンクや回避を読んだ溜め下スマが決まり2ゲームを連取するにえとの選手。地元の期待を背負うTweekは強い意志の力で1ゲームを奪い返すもののにえとのディディーの下強上スマがその力を跳ね返し3-1で日本勢の希望をつないだ。


敗者側準々決勝第1戦は昨日世界を驚かせた対戦のリベンジマッチ、Mew2King vs SuperGirlKelsとなる。じゃんけんでは惨敗したM2Kだが試合に入ると文字通り輝きを放つ。これまでの試合ではむしろリミットブレイクをすぐ解放するスタイルであったが、この試合ではソニックのスピードに対応するためかブレイク状態をキープして戦うMew2Kingクラウド。一方Kels側はこれまで魅せてきたようなキレのある復帰阻止もなく同じパターンのバースト技にも引っかかり集中力が尽きているように見える。昨日の番狂わせの再現はかなわず、Mew2Kingが3-0でリベンジを果たす。

敗者側準々決勝第2戦はにえとの vs Marss、Marssのアグレッシブなスタイルににえとのはなかなか自分の試合を展開できない。バナナでステージを支配したいがMarssは終始完璧な対処を見せ逆に積極的に利用していく。1ゲーム目はその勢いのままMarssのZSSが奪うが、試合が進むに連れて彼の動きはやや緩慢になりミスも目立つように。その変化を見逃すにえとのではなく一気に自分の流れにもっていき続く2ゲームを連続で制す。追いつめられて目が覚めたか、次のプププランドでの第4ゲームはMarssが再び激しいプレッシャーをにえとのに与えていく。にえとのも食らいつき1ストック高%の争い、Marssが崖奪いでにえとのを足場に追いやり先回りで空上を合わせてにえとのを吹き飛ばした。しかしMarssのエネルギーもここで尽きてしまったか、第5ゲームでは甘いつかみすかしを連発するなどらしくないプレイが続き、一方で集中力を保ちきったにえとのが手堅く試合を決めてしまう。


勝者側決勝はVoiDがDabuzから初の勝利をつかみとるべく神経を研ぎ澄ましメインステージでコントローラーを握る。今回は波に乗るシークで第1ゲームを戦うが、Dabuzロゼッタに攻撃展開の糸口を見出だせず2機残しで敗れる。第2ゲームの前VoiDがフォックスにキャラ変更するとDabuzはすぐさま愛用のThinkPadを開きマッチアップデータを確認している様子。データのダウンロードは100%といったところか、このゲームもJV2ストック(1機残しだがダメージは0%)でDabuzの勝利。しかしVoiDから伝わるのは試合用データなんて必要ない、その場でデータを集めればよいという意志。プププランドの第4ゲーム、VoiDフォックスはロゼッタとチコをうまく分断し、ロゼッタがチコを手元に戻す隙をついて空後で1ストック目を奪う。そしてストックのリードを利用した自滅覚悟の超低空空前からのふみつけがきまり、こちらもJV2ストックでゲームを取り返す。

その後再びThinkPadを凝視するDabuzにVoiDはあきれ顔で、メイン画面に映るタグ入力を利用して「(ゲーム間にメモを確認することに関して)ルールをつくってください」と訴える場面も。さらにVoiDはDabuzをからかうかのごとく、彼がThinkPadを閉じた瞬間を見計らってミュウツーにキャラ変更。Dabuzは再びデータを確認し始めたが、運営にせかされてやっとゲームが始まる。VoiDは1ストック目を自滅で落とすもミュウツーの火力を活かし前強でストックを取り返し徐々に差を縮める。そしてVoiDミュウツーが150%を超えたホカホカ状態で94%のDabuzロゼッタをつかんで上投げのモーションに入りこれはバーストかと思われた--しかしそこに助けに入ったのは星の子チコ。間一髪で生き延びたDabuzが空NでVoiDの最終ストックをものにし、結果3-1で決勝進出を決める。




そしてにえとのは敗者側決勝、Mew2Kingと再びのクラウド戦に臨む。村と街での第1ゲーム、Me2Kがまたも果敢な復帰阻止を見事決めたかと思いきや自身も復帰をミスし勝負は1-1ストックでリセットされる。一進一退の末にえとのディディーがまたもやクラウドを空下で地に落とし、1ゲーム目を制して好調な立ち上がりを見せた。第2ゲームも激しい読み合いがつづき息を呑む戦いとなる。にえとのが復帰阻止にいけば逆にMew2Kingが崖奪いで復帰阻止に入り、Mew2Kingがにえとのの下強からの下スマをベク変で拒否すればにえとのはMew2Kingのその場回避を読んでつかみを当てるそのつかみからの後ろ投げはバーストに繋がり、にえとのディディーがM2K打倒に王手をかける。3ゲーム目は1ゲーム目と同じパターンでM2Kクラウドが低空復帰阻止を決めるが、今度はもともと高%であったため狙いどおりのリセットだったといえる。最終ストックの戦いはにえとのが一歩リード、M2Kが復帰後崖をつかみその後の行動に迷い無敵時間を切らす瞬間をにえとのは見逃さなかった。Rain選手のリベンジをにえとの選手が3-0で果たし、ついに敗者側決勝にまで上り詰めた。


DetonatioN Gamig vs Counter Logic Gamingは村と街で開幕、VoiDはフォックス、にえとのはディディーで参戦する。TANIステップ上強などを駆使しトリッキーな立ち回りを見せるVoiDフォックスににえとのは苦戦、1ゲーム目はVoiDに軍配があがる。フォックスでのライラットクルーズに不安があるのかVoiDはここでまたキャラ変更を行い、今度はシークに切り替える。このゲームもにえとのはバナナを出す暇も少なくなかなかステージをコントロールできない。それでも上強でのバーストなどとても冷静な行動選択でくらいつくにえとの、しかし冷静さならVoiDも負けない。空中で追い打ちをかけるにえとのにカメラ外から空下で奇襲、跳ね返されたにえとのが焦って空中回避するのを待って空上で撃墜する判断力には感嘆せざるを得ない。ついにあとがなくなったにえとのは瞑想モードに入り集中力を最大限に高める。だがそれもこの男の前には意味を成さないのだろうか、このゲームVoiDシークにはもはや一分の隙も見受けられず、3-0で勝者となったのはCounter Logic Gamingの使者であった。にえとの選手はこの種目での自己の海外遠征最高順位(Apex 2015での5位)を更新する3位で大会を終える。


大会の最終戦は再びDabuz vs Voidとなる。VoiDは第1ゲームでフォックス、第2ゲームでミュウツーを繰り出すがやはり力及ばず2ゲームを失い絶体絶命の状況に。そんな中最後に運命をたくしたのは自身のメインキャラクター、シークであった。ここからのVoiDはチコを落ち着いて処理する一方、チャンスがあると見ると危険なロゼッタチコの配置にも関わらず攻めに転じるなど攻守を的確に切り替えていく。そして忍耐強く好機を待ち、それを逃すことなく確実にバーストを決めていったVoiDは立て続けに2ゲームを奪い返し、Dabuz相手に第5ゲームにまで持ち込んだ。しかしもちろんDabuzも勢いだけで押しきれるような相手ではない。戦場という広いステージでシークがバーストに苦しむのを利用し、Dabuzは多少の反撃をおそれずややリスクの高い行動を選択してプレッシャーをかける。事実VoiDは一向にDabuzのストックを奪えず大きなリードを許し、最後はDabuzロゼッタチコの3連弱が大会の終わりを知らせる。セットを落とさずすべてのプレイヤーを下したDabuzはスマブラXやダブルス種目を含めてはじめてApex優勝の栄冠を手に入れた。



最終結果
1位:Dabuz(ロゼッタ&チコ)
2位:VoiD(シーク、フォックス、ミュウツー)
3位:にえとの(ディディーコング、シーク)
4位:Mew2King(クラウド)
5-6位:SuperGirlKels(ソニック)、Marss(ゼロスーツサムス)
7-8位:James(クラウド、ディディーコング)、Tweek(クラウド)

2016年6月20日月曜日

『DreamHack Summer 2016』 DX シングルス、Leffenインタビュー

欧州最大級のeSports総合イベント『DreamHack Summer 2016』が開催され、そのうちの1種目スマブラDXシングルスの勝者が決定した。Armadaが大会直前に棄権する中もはや敵なしといった様子でLeffenが悠々とタイトルをものにした。ドイツ出身でLeffenのメインダブルスパートナーであるIceが2位、Project Mのスネークが有名なイギリスのProfessor Proが3位を獲得した。

2月のB.E.A.S.T 6以来の地元での直接対決が期待されたLeffenとArmadaであったが、Armadaが体調不良を理由に大会前日に棄権を発表し対決は再びおあずけとなった。

(ArmadaはDreamHackに来ないらしい。ミュウツーで行こうかな(爆笑))


Leffenのことはさておきベスト6には『Amsah Tech(Amsah受け身)』の生みの親Amsah、DXアドベンチャーモードのスピードラン世界記録保持者としても知られるFuzzyness、PMでは過去に「世界最強のスネーク使い」とも呼ばれDXでもイギリスランク1位を誇るProfessor Pro、Armadaの弟Andoroid、Leffenの長年のダブルスパートナーIceという個性あふれるメンバーが名を連ねた。

ベテランシークプレイヤーAmsahは今大会重要な場面で幾度も自滅する不調に見まわれ、LeffenとFuzzynessに0-3, 1-3で敗れてAndroidとともに5位タイで大会を終える。ベスト4は全員フォックス使いとなったが、各プレイヤー間の実力にはやはり大きな開きがあるようだ。Fuzzynessを3-0で下したProfessorはIceに0-3でストレート負け、そしてそのIceはLeffenとの1セット目に0-3で敗北している。

LeffenとIceの決勝、Leffenが確実に2ゲームを取得し優勝に王手をかけると、そこに表れたのは幻のポケモンであった。彼はここ最近配信でよくこのキャラクターをプレイしておりどこまでが本気でどこまでが冗談かはわからないが、事実Ice相手に互角に近い戦いを見せる(ちなみに前日のフレンドリーマッチではProfessor Proに勝利していた)。しかしさすがにIceも意地を見せてここは勝ちをもぎとり、さらに勢いに乗って次のゲームも勝利する。だが落ち着きを取り戻したTeam SoloMidの精鋭が第5ゲームをあっさりと取り切り優勝を決める。

試合後のインタビューでは相変わらずのLeffen節が炸裂。興味深い内容があったので以下その一部を紹介する。



Leffen「(ミュウツーを出した理由について聞かれる前に)配信中に約束したんだ。決勝でそれまで1ゲームも落とさずに2-0になったらミュウツーを使うって」

Isyan「他のプレイヤー相手ならまだしもIceに対してそれはどうなんだい、彼はチームメイトだろう」

Leffen「もし(それまでの試合で)気持ちが高まっていたらそうはしなかったよ」

Isyan「高まらなかったんだ(笑)」

Leffen「(笑)」

Isyan「それにしてもなんでそんなにいろんなキャラクターを扱えるのか理解できないよ」

Leffen「うん、まあ基本的にゲーム内どのキャラクターを使ったとしてもヨーロッパのプレイヤーには一切負けないと思う」

(Isyanとtwitchチャット「おっと...」)

Leffen「これは別にヨーロッパのプレイヤーを見下してるとかじゃなくて、DXでは(上位プレイヤーと下位プレイヤーの)技術力の差っていうものがとても大きいってことなんだ。技術力が少しでも相手より高ければあらゆるキャラクターでその相手を倒すことができるんだ」

Isyan「なるほど、失礼な発言にも聞こえるけれど、反論することもできないね」

Leffen「でも全キャラの中でアイクラだけは上手く使えないんだ。Wobbling(つかみハメ)はできるからあとはそれにつなげるセットアップを練習すればいいんだけど」

Isyan「それは見てみたいね(笑)」

Leffen「無理だね。炎上してスポンサー失っちゃうし(笑)

Isyan「いやいやいや(笑)」

Leffen「みんなのアイクラ嫌いは異常だからね。自分のこと中堅プレイヤーだと思い込んでる人ほどWobblingに文句を言うね。でもWobblingは実際ブリザードとかそこにつながるセットアップさえ気をつければ避けられるし、ナナを撃墜すれば封じられるし、全く一方的でどうしようもないものなんかじゃないんだ。むしろそれに比べればファルコのレーザーとかリフからのコンボのほうがよっぽど防ぎようがないじゃないか。ファルコやフォックスと戦うときに『よし、リフは一切くらわないぞ』みたいには行かないだろう。ここには駆け引きも何もないんだ」

Isyan「たしかにね。これがきみの言いたいことに合ってるかはわからないけど、mang0が言っていた『シークに下投げから受け身追いされるよりもアイクラにWobblingされるほうがマシ』みたいなことに近いのかな。やり方が違っても実質的には同じことをしているような」

Leffen「そうそうそんな感じ(笑)。そもそもそういう考え方が全体的に僕にはおかしく思える。厳密なコンボ、『確定コンボ』って呼ばれるようなものは当てられた側は本当に何もすることができない。だいたいWobblingに文句を言うレベルのDXプレイヤーはスマブラ4とかXとかを毛嫌いする傾向があるけど、そっちのゲームのほうがよっぽど駆け引きが多いじゃないか。ほとんどの連携技はベク変で抜け出せるし、空中回避するしないの読み合いもある。でもDXには確定コンボがたくさんあって、それはもはや相手がミスするかしないかの問題でしかない」

Isyan「そういえばtwitterでもその話題があったよね」

Leffen「ていうかそろそろトーナメントの話をしようよ(笑)」

Isyan「そうしようか(笑)」



Leffenはナルシストでエゴの強い人物という印象が強い(これも事実だが)がこのようにコミュニティが抱える矛盾や問題点を屈託なく指摘できる数少ない人物でもある。今後も彼のプレイはもちろん、彼の発信する意見にも注目していきたい。






2016年6月19日日曜日

『Apex 2016』 2日目 Wii U 版 シングルス他

スマブラ総合大会『Apex 2016』 2日目には各タイトルシングルス種目が行われ、ベスト8までが決定された。Wii U版(SSB4)では日本から参加したにえとの、うめき、Rain選手が全員勝者側でベスト32まで残るものの北米トッププレイヤーたちの厚い壁に阻まれ、結果ベスト8まで進んだのはにえとののみとなった。この中でMew2Kingなどを破り、SuperGirlKelsがApex史上初めて女性としてベスト8に進出する快挙を成し遂げた。DXシングルス、64シングルスは大きな波乱もなく上位プレイヤーたちがベスト8に出揃った。

ベスト32までは日本人3選手および北米上位プレイヤーたちが特に危なげもなく順当に駒を進める(Tweekが予選でZoraiに敗れるという番狂わせはあったが)。しかしここからこの大会は一転しのぎを削る死闘が続き、誰も予想しない波乱も起きることとなる。

SSB4 シングルス TOP 32


Dabuzがルカリオ使いDayを2-0で片付け、次の試合Mew2King vs SuperGirlKelsもMew2Kingが素早く終わらせてしまうだろうとほとんどの観衆が予想していただろう。Mew2Kingが1ゲーム目は奪ったものの試合展開は驚くほど互角。そして次の試合SuperGirlソニックはM2Kクラウドの甘い復帰に横スマを合わせて2つのストックを奪い、観衆の表情は一変する。ライラットクルーズでの第3ゲーム、M2Kも当然先ほどの結果を学習し復帰方法を変化させるも、SuperGirlもまた異なる復帰阻止でM2Kの意表をつく。最後はまたしてもソニックの横スマがクラウドをバーストゾーンに送り込み、カナダの”スーパーガール”が”キング”相手に大金星を挙げた。




試合後インタビューで「スマッシュコミュニティの中で最もポジティブと言われるようなその心構えはどう維持するのか」という問いに対し、彼女は「ネガティブになる理由がわからない。誰もが私にMew2Kingは倒せないと言うだろうが、自分もそう考えたらただ負けるだけ」「自分のやりたいことがこれだと決めたらそれをやるだけ。それに気づけば何が起きたって自分を保っていられる」と語った。

DetonatioN Gamingにえとのは昨日のダブルスで猛威を振るったMr. Eと対峙するが、ここでは実力差を魅せつけ2-0できっちり勝利する。続いてRainはロボットプレイヤーMister Ericと当たりクラウドで立ち向かう。ロボットへという大会で当たることの少ないキャラへの対応に一時は苦戦するが、2-1で勝利をつかむ。2人の勝利に続きたいうめきだが、対するは地元トライステート地区のNo. 1、ゼロスーツサムス使いMarssという難敵。試合前インタビューで「ピーチの対策はできている」と語ったMarssはそれを試合で証明し、終始ゲームを支配し2-0でうめきを下す。

大会は勝てばベスト8の勝者側準決勝という佳境へ入り、ここからはBO5(5番勝負)となる。にえとのは世界ランクトップ3に数えられるロゼッタ使いDabuzと戦う。ディディーは不利と見てシークを選択したにえとのだが、Dabuzの完成された試合運びに対し一貫した戦略を立てられず立て続けに2ゲームを落とす。3ゲーム目には徐々にチコへの対応にも慣れを見せ、効率的な復帰阻止により3タテも阻止する。しかし対応に対応するのが世界トップの力、にえとのもはじめはリードを奪うものの最後にはDabuznの上スマにより敗者側に送られてしまった。

続く試合では波に乗るSuperGirlKelsがネスプレイヤーThe Great Gonzalesを3-1で下しベスト8にへの切符を手にした。女性プレイヤーのこれまでのApex最高成績は全種目総合して9位(Crisman, 2009 DXダブルスとXaltis, 2015 X ダブルス)であったため(※)、この時点で最高記録更新が決まる。もちろんこれまでの大会とは規模が違うため純粋に比較はできないが、これだけ上位選手が集まる大会でのベスト8は間違いなく大きな功績である。明日の活躍にも期待したい。

SmashWikiに記録されている限り


日本勢で勝者側に唯一残ったのはRain選手。Counter Logic Gaming所属のシーク使いVoiDにこれまたクラウドを当てる。1ゲーム目は空下メテオでVoiDの1ストック目を早々に葬り、そのリードを活かし見事勝ち星を得る。しかしステージ上の立ち振る舞いや忍耐力明ではVoiDが一枚上手で、この後のゲームで彼のシークは効率よくダメージを重ねつつわずかな隙を見逃さずバーストを決めていく。VoiDの支配するペースにRainはついていくことができず、1-3で敗北を喫する。ここで日本勢は全員敗者側にまわり後のない戦いを強いられる。

Marssは6WXを破る番狂わせを見せたJames(ディディー、ルイージ)と当たるが、ここでもMarssの余裕のあるスタイリッシュなプレイ(BMともいう)が炸裂し3-1でベスト8進出をものにする。敗者側では6WXを3-0で破って勝ち進んだうめきとにえとのがぶつかる不運な展開に。ここではにえとのが格上たる風格でうめきにストレート勝利してベスト8の座を獲得し、両者は笑顔で握手を交わした。



そしてRainはJohn NumbersやPugwestを倒して勝ち上がってきたMew2Kingに挑む。クラウドミラーをしかけるRainはM2Kの自滅もあり(彼のツイートいわく、自分と相手のクラウドを見間違えたとのこと)1ゲーム目を勝ち取るものの、ミラーマッチでこのキャラの経験差が如実に表れ2ゲームを奪い返される。追い詰められたRainはディディーにキャラ変更をしたもののM2Kの勢いは止められず、1-3でステージを後にした。

結果トーナメントに残った日本勢はにえとの選手のみ、それも敗者側で後がない状況だがそんなな中でこそ真価を発揮するのが日本人プレイヤーであろう。今夜23時からの彼の勇姿をぜひとも最後まで見届けたい。スケジュール等はこちらから。

ベスト8進出プレイヤー
勝者側:Dabuz, SuperGirlKels, VoiD, Marss, James, Mew2King, Tweek, にえとの

結果一覧

2016年6月18日土曜日

『Apex 2016』 1日目 Wii U版 ダブルス他

シリーズ7回目となるスマブラ総合大会『Apex 2016』が開幕し、各タイトルダブルス種目が執り行われた。日本から参戦したにえとの/うめきペアが決勝で難敵Mew2King/VoiDを紙一重で下し見事Wii U版(SSB4)ダブルスで優勝を果たした。64ダブルスはcobr/Star King、DXダブルスはDJ Nintendo/The Moonがそれぞれタイトルを獲得した。

運営組織が一新された『Apex』は今回見違える成長を見せてくれた--会場は確保されていたし、配信開始の遅延も昨年の24時間からなんと3時間に短縮されたのだ。この結果に慢心せず2日目はさらなる向上に努めて欲しい。本当に。

SSB4 ダブルス


日本からの刺客にえとの/うめきが順当にベスト8に駒を進める中、本命と見られていたMew2King/VoiDおよびMarss/Pugwestが早々に敗者側に送られる波乱の展開に。

VoiDペアを敗者側に落としたのはX時代に「最強のディディー」として知られたADHDとこれまたXのトッププレイヤーMr.Eのコンビであった。本作での競技シーンではこれまで際立った功績を挙げていない両名であったが、今大会でそのポテンシャルを遺憾なく発揮し勝者側決勝まで突き進む。

にえとのペアの最初の試練は勝者側準決勝となる。相手は地元トライステート地区のトップランカーコンビMarss/Pugwestを打ち破ったRaptor/Dioペア。すま村での第1ゲーム、Raptorヨッシーのトリッキーな動きに翻弄されたにえとの側は次々ストックを削られ、にえとのが最終ストックで1 on 2(Dioは2ストック)の状況に追い込まれる。にえとのディディーがここからさすがの忍耐力で反撃しRaptorとの1ストック勝負にまで持ち込んだものの最後はこれまた虚を突くRaptorの下Bにより1ゲーム目を落とす。しかしギミックに惑わされ続けるにえとのやうめきではなく、その後は落ち着いた適応を見せて3-1で勝者側決勝へ。

一方敗者側、Marss/Pugwestが息を呑むチームコンボ(と執拗なアピール)を交え容赦なく敵をなぎ倒し敗者側準決勝へ。Raptor/DioがMew2King/Voidと当たるが、集中力の切れが目立ち1ゲームを奪うものの2度めの番狂わせは起こせなかった。

そして勝者側決勝にえとの/うめきvsADHD/Mr. Eが幕を開ける。 ADHD側はADHDディディーがバナナ(下B)や機動力を活かしてステージをコントロールし、Mr .Eマルスが先端の強力なバースト力でキャリーするというゲームプランを確立する。一方にえとの側はなかなか戦い方を見出だせない様子で2ゲームを連取され3ゲーム目もうめきが1 on 2に追い込まれる。しかしMr .Eによる味方を撃墜するオウンゴールがあり1 on 1になるとうめきデイジー(※ピーチ)が巻き返し、パラソル(上B)最終ヒットでついに1ゲームを取り返す。流れが変わりつつある中村と街での第4ゲームは両者譲らずにえとの/Mr. Eの1 on 1となる。緊迫した高%の戦い、バナナによるMr .Eの転倒起き上がりににえとのディディーが下スマを合わせまたもにえとの側がゲームを決める。最終ゲームはADHD側に焦りが見られ、対して落ち着きを保ったにえとの/うめきがディディー横スマ+デイジーパラソルというチームコンボでフルセットを制し決勝に歩みをすすめる。



敗者側準決勝ではMew2King/VoiDとMarss/Pugwestが相対する。MarssとPugwestは固い絆のチームでありトッププレイヤーの即席コンビには負けない、などと考えるのは非常に甘い。Mew2Kingがダブルスにかける思いは人一倍であり、当然今回も万全の備えで臨んでいるはずだ。ゲームが終わるごとに険しい顔で事細かにパートナーに指示を出す彼の姿がそれを物語る。また信頼できるパートナーがいるときの彼のパフォーマンスは凄まじく、今回もそれを存分に魅せつけ、『完勝』という言葉がふさわしい戦いで地元のエースを粉砕した(Marss側も1ゲームは取得している)。その勢いは敗者側決勝vs ADHD/Mr. Eでも衰えることなく、ADHD側のクラウド対策不足も目立ち3-0の勝利でチーム日本との決勝の舞台へ。


波乱もあったとはいえ最後に残ったのはやはりこの2チーム。日本のスマブラ界に2013年64シングルス(貴公子)以来の栄光をもたらすべくにえとの/うめきがM2K/VoiDを勝者側で出迎える。終点での第1ゲームは乗りに乗るVoiD側がなめらかな試合運びで危なげなくチーム日本を下す。M2Kクラウドのチャージを封じる狙いか、第2ゲームでもにえとの側は終点をピックする。うめきの崖空下とディディーの空下でクラウドを早々に潰すことに成功した二人はそこで得たリードを活かしきりゲームカウントは1-1に。日本プレイヤーがあまり慣れていないであろうという想定からか続くゲームM2K/VoiDはライラットクルーズを選択。VoiDシークの華麗な針跳魚(NB+下B)や崖空下による復帰阻止も光り、最後はM2Kの画竜点睛(リミットブレイク下B)がゲームを決める。後のなくなった日本側は第4ゲーム再び終点に戻る。うめきデイジーがにえとのディディーの復帰をパラソルでアシストする並外れたチームワークを見せる場面もあったが、やはりアメリカ側が一枚上手なのか、両者が敗者側となり勝負は運命の2セット目にもつれ込む。

2セット目は再び終点でスタート、ここでまたしてもVoiD側が並外れた個人技と連携をあますところなく魅せつけ完勝を収める。暗雲が漂う中日本側はすま村でアメリカ側に挑むが、この選択が吉と出る。クラウドが移動する足場で安全にチャージできてしまうことから対クラウドでは避けられがちなステージだが、M2Kがチャージに専念する隙を活かしてVoiDに猛攻をしかける事ができたにえとのとうめきがこのゲームを制した。続くライラットクルーズでの第3ゲーム、一進一退の攻防が続くが徐々に日本側がリードを取り、VoiDとの2 on 1で少しヒヤリとする場面もあったがしっかりと勝利、優勝に王手をかける。しかし安々と勝利を明け渡すチームアメリカではなく、ライラットクルーズで1ゲームを奪い返すと勝負はクライマックス、最終セット最終ゲームへ。にえとの/うめきは先程勝利したすま村を選択し、最終戦とは思えないほど落ちついたプレイで力強い立ち上がりを見せる。にえとのを起点としたチームコンボが次々に光り、最後もディディー空上+デイジーパラソルが美しく決まると、日本の刺客がGENESIS 3に続いて北米の地でダブルス優勝を成し遂げた。




最終結果
1位:にえとの/うめき
2位:Mew2King/VoiD
3位:ADHD/Mr. E
4位:Marss/Pugwest
5-6位:Raptor/Dio, BC Luck/Biddy
7-8位:LAG Chaos/Tokyo, Noe3/Naga's Voice

DX ダブルス


SSB4ダブルス決勝で敗れた悔しさに浸るまもなくこのDXダブルス勝者側決勝の席につくMew2Kingであったが、そんな状況にも慣れている彼はしっかり切り替えて相手のDJ Nintendo/The Moonを3-1で下す。しかし決勝で再び同チームとあたると勝負は一進一退の末フルセットに。DJ NintendoのフォックスがM2Kのシークを1 on 1で破り、こちらのダブルスも2セット目に突入した。さすがのM2Kも疲労の色を隠せず、Jflexも連戦に耐えぬく体力が不足していると見え、結果3-0で勝利したのはDJとMoonのペアであった。

日本時間今夜23時からはシングルスがスタートし、こちらも日本勢の活躍から目が離せない。スケジュール等はこちらから。

2016年6月17日金曜日

スマブラ英会話 スマブラ用語編 #1 タイトル・キャラクター・ステージ

海外のスマブラ大会の実況を聞いたり、海外プレイヤーと交流したりするのにやはり英語は重要である。このシリーズではスマブラ用語の英語表現や、実況中の雑談で出てくる会話表現などを取り上げて解説する。今回はスマブラシリーズのタイトルやキャラクター・ステージの英語表記を紹介する。



1. シリーズタイトル


  • 大乱闘スマッシュブラザーズ -> Super Smash Bros.

Bros. は Brothers の省略表現なので基本的にはそのまま。略すとSSBとなる。「大乱闘」に対応する表現はここにはないが、下に説明するようにシリーズ個別タイトルに表れている。


  • DX -> Melee
Meleeはもとはフランス語で「雑多な、ごたまぜの」という意味で転じて「乱闘」の意味。発音は「メイレイ」で、これ一単語で「スマブラDX」を指すことがほとんど。書く際にはSSBMとも。

  • X -> Brawl
Brawlもmeleeと同じような意味で「乱闘」のこと。やはりこれ一単語で「スマブラX」を指す。書く際にはSSBBとも。

  • スマブラ for Wii U/3DS -> Smash 4
for Wii U/3DSの"for"と数字の"four"をかけ、かつ「シリーズ4作目」という意味も含むウィットの利いた略称。書く際にはSSB4と略されることも多い。


2. キャラクター


ほとんどはそのままの名前だが、一部異なるキャラクターを紹介する。

  • むらびと -> Villager
これは、まあその通り。

  • クッパ -> Bowser
発音は「バウザー」ちなみにKoopaはノコノコのことを指す。

  • ロゼッタ&チコ -> Rosalina & Luma
「チコ」はたしかに英語っぽくないが。

  • デデデ大王 -> King DeDeDe
そのままのようだが発音は「ディディディー」

  • リザードン -> Charizard
Char「焦がす」+ lizard「トカゲ」ちなみにヒトカゲはCharamander(salamander「サンショウウオ、(伝説の)ヒトカゲ」)、リザードはCharameleon(chameleon「カメレオン」)。

  • フシギソウ -> Ivysaur
Ivy「ツタ」+ dinosaur「恐竜」ちなみにフシギダネはBulbasaur(bulb「球根」)、フシギバナはVenusaur(venom「毒」から?)。

  • ゼニガメ -> Squirtle
Squirrel「リス」 + turtle「カメ」ちなみにカメールはWartortle(warrior「戦士」から?)、カメックスはBlastoise(blast「爆風」+ tortoise「(陸生の)カメ」)。

  • ゲッコウガ -> Greninja
Gremlin「グレムリン」+ ninja 日本人からすると「ニンジャ」はちょっと...。進化系統は割愛。

  • プリン -> JigglyPuff
「小刻みに揺れるふわふわしたもの」

  • ルフレ -> Robin
英語圏で男女どちらにもつかえる名前。Refletはフランス語で「虹」を意味するが、フランス版のルフレはDaraenらしい...。

  • ルキナ -> Lucina
「ルシーナ」と発音される。

  • カムイ -> Corrin
これも男女どちらにもつかえる名前。ラテン語で「槍」や「乙女」を意味するらしい。かっこいい。

  • ロボット -> R.O.B
「ロブ」と読む。Robotic Operating Buddyの略らしい。

  • ブラックピット -> Dark Pit
ブラピ≠黒人ピット。

  • ロックマン -> Mega Man
英語圏の人に"Rockman"は「岩男」のように響くのだろうか。


3. ステージ


すべて挙げるときりがないので大会で使われるステージのみ。

  • プププランド -> Dream Land
  • 夢の泉 -> Fountain of Dreams
  • 戦場 -> Battle Field
  • 終点 -> Final Destination
  • すま村 -> Smashville
  • ドルピックタウン -> Delfino Plaza
  • 村と街 -> Town and City

普段から海外の大会などを見ている人にとっては当たり前の知識だっただろうか。次回は基本的なワザの呼び方について紹介予定。

今週末の見どころは? 6/18-19 『Apex』『LTC4』『Snosa』『DreamHack』『スマバト』

今週末6/18-19はイベントが目白押しだ。アメリカでは『Apex 2016』『Low Tier City 4』『Snosa II』、欧州では『DreamHack Summer 2016』、また国内では『第11回スマバト4U』と怒涛のように大規模イベントが並ぶ。ここではこれらの配信スケジュールや見どころを紹介していく。


Apex 2016


  • 主要出場選手
SSB4: にえとの,うめき, RAIN, Dabuz, VoiD, 6WX, Mew2King
DX: Mew2King, The Moon, DJ Nintendo
  • スケジュール(日本時間は+13)



  • ストリーミング
twitch.tv/teamsp00ky
twitch.tv/smashstudios

  • 見どころ
この大会はやはり日本人選手の活躍が大きな見どころである。初日のSSB4ダブルスではにえとの/うめきペアが出場する。Mew2King/VoiDという強敵がいるが、他に際立ったペアはいないためかなりの好成績が期待できる。2日目以降のシングルスではこの2人に加えRAINが参加し、Dabuz, 6WXなどの世界トッププレイヤーに挑む。GENESIS 3以来の大きな舞台での国際戦でどこまで力を発揮してくれるかに注目したい。

だがDXプレイヤー(SSB4プレイヤーもだが)は『Low Tier City 4』に、64プレイヤーは『Snosa II』に流れたためSSB4以外のスマブラタイトルは残念ながらあまり盛り上がる気配はなさそうだ。


Low Tier City 4

  • 主要出場選手
SSB4: ZeRo, Nairo, ESAM, MVD
DX: Hungrybox, Mango, Lucky, Wizzrobe, JAVI, Wobbles
PM: Mr. Lz, Junebug, ThundeRzReiGN, Dakpo

  • スケジュール(日本時間は+14)
6/18(土) 10:00~23:00
6/19(日) 10:00~21:00
※詳細は不明

  • ストリーミング

  • 見どころ
SSB4でのZeRoとNairo、DXでのHungryboxとMangoというライバル争いはなんといっても必見であろう。どちらも上に立つ側(ZeRo, Hungrybox)の優位が最近揺らぎ始めているという点で共通しているところがまた面白い。DXは中堅層も層が厚く、TOP 32あたりからもう目が離せなくなりそうだ。


Snosa II

  • 主要出場選手
64: SuPeRbOoM, Isai, Tacos, Mariguas, KeroKeroppi

  • スケジュール(日本時間は+14)
6/18(土)
13:30- ダブルス
16:00- シングルス(TOP 16まで)
17:00- アマチュア大会(予選敗退者のみ)
21:00- Snosa Salty Suite

6/19(日)
13:30- シングルス TOP 16

  • ストリーミング


  • 見どころ
年に1度のスマブラ64の祭典であり、メンバーもそれはそれは豪華である。64ファンにとってはすべてが見どころといっていいだろう。

DreamHack Summer 2016

  • 主要出場選手
DX:Armada, Leffen, Professor Pro, Fuzzyness, Android, Amsah, (Ice?)

  • スケジュール(日本時間は+7)
6/18(土)
14:00 – Pools Wave A
16:00 – Pools Wave B

6/19(日)
13:00 – Bracket Top 64
18:00 – Bracket Top 8

  • ストリーミング

  • 見どころ
『Get On My Level』で途中棄権して以来大会に出ていなかったArmadaの復帰戦であり(途中棄権したのはEGLXでした。GOMLではLeffenが勝利しています)、同大会で優勝したLeffenと今度こそ戦って欲しいという期待も大きい。開催地はスウェーデンであるがイギリス、ドイツ、オランダなどからも精鋭が集まる国際大会であり、各国の威信を背負った戦いという目で見てみるのも面白いかもしれない。


第11回スマバト4U


楽しみですね!!

大会サイト